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てな訳で。
「や、やっとできたぁ…!」
『無事完成してよかった…』
レシピの分量は混同するしチョコレートの湯煎でお湯を入れそうになったり、温度設定を間違えたり______
樋口がお菓子作りにおいてここまで適当だったとは。
二人はどっと疲れてテーブルの上に伸びる。
それと同時に顔を見合わせる。
『あ、樋口ちゃんほっぺにクリームついてる』
「Aちゃんこそ鼻先に小麦粉ついてる」
二人でぷっと吹き出して笑う。
二人とも、こんな女子みたいなことをするのは久しぶりで楽しそうに笑った。
その後樋口の妹に味見してもらうとなかなかに喜んでもらっていた。
タクシー乗り場まで樋口がAを送る。
「Aちゃん。今日はありがとう」
『明日、芥川くん喜んでくれると良いね』
じゃあまた明日ね、と手を振って互いに帰路についた。
__________
そして翌日のこと。
中也さんの計らいでほんの少し早くあげさせてもらうことになった。
食事にでも誘いたいと思ってドレスに着替えてメイクも直す。
羽織り物を上に着て昨日の晩樋口ちゃんと作ったお菓子を普段世話になってる人たちに渡しに行く。
一通り渡し終えて首領と紅葉姐さんの元を訪ねると、私の正装姿を褒めてくださった。
「Aちゃんは矢っ張り綺麗だねえ」
「これ中年よ。Aにセクハラ発言をするなら刺すぞ」
「こ、紅葉君夜叉をしまいなさい…」
「リンタロウキモい!」
エリス嬢と写真を撮らされてすっかり長居してしまった。
急ぎ足で中也さんの執務室に向かった。
何度かノックをしても応答がなく、もう帰ってしまったのかとがっかりしていると扉が開いていた。
鍵の閉め忘れかと思い中に入る。
『失礼しま…』
寝てる。
中也さんはパソコンと書類に揉まれて卓上で寝ていた。
そっか、私を早く帰らせる為に中也さん遅くまで仕事してたんだ。
私は棚の中からブランケットを取り出して背中にかけて丁重にラッピングしたカップケーキとプレゼントを置いた。
(なんか、サンタさんみたいだなぁ)
窓の外ではしんしんと雪が音もなく降り始め、魔法の如く街の景色を白く変えた。
どこか特別な響きを醸し出すクリスマス。横浜ではこんな物語も紡がれていた。
-Merry Christmas-
_________
お久しぶりです。
年末は毎年恒例(?)大量更新いたしますので、どうかご愛読していただけると幸いに思います。
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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時