愛吐 20 ページ26
「ひとりめ捕まえた☆」
疾い。疾すぎる。そりゃそうだ、此処は相手が作った世界。こんなのフェアじゃない。
谷崎潤一郎が扉の奥に引きずり込まれてしまったすぐ後、隙も与えず襲いかかってくる人形。
これは一種の賭けだろうか。もし彼らが実行していれば勝つがそこまで回っていなければ戦況はかなり厳しい。
万一のプランを立てて…先ずは中島敦が
「.......にしても杉崎くん。昨日は若者の様な装いで探偵社に乗り込んだと聞いたが、写真はないのかね?」
『は…いや、え.......と、ないですけど』
「紅葉くんが見たがっていたのだよ、君のスーツ以外の姿」
考え事をしていたところで話しかけられたが内容も内容だったので拍子抜けする。
紅葉姐さんで思い出す。私は鏡花ちゃんを手放してしまった。探偵社へと渡されてしまった、紅葉姐さんはどう思うだろうか。鉄槌が下されるか、夜叉で切り刻まれるか。
私は首領にまた機会があれば何でも着ますよ、と微笑み中島敦の方に目を向けた。彼が手にしていた鍵が襲いかかろうとしていたのだ。
『敦さん危ない!』
「え......」
鍵がぴゅっと首元を掠めた。いくら反射神経が良いとは云えどあんなに暴れ回る鍵を扱うというのは幾らなんでも無理がある。
どんなに逃げ回ってもそろそろ彼の体力も限界に近い。いよいよ匙を投げようと扉の方へと向かったが、それを首領が止める。
「駄目だよ少年、敵はあっちだ」
中島敦も少女も目を点にして首領の方を見た。
首領は合理的判断を重んじる合理主義者である。彼の話す言葉一つ一つどこをとっても正論でそれでいて確実で.......強い。
「戦戯理論研究では危害を加えて来た敵には徹底反撃を行うのが論理最適解とされている。二度と反逆をされぬよう此所で徹底的に叩くのだ」
「でも方法が」
「絶対に敗けぬと高を括る敵ほど容易い相手はいないよ」
現状を見る限り最適解はそれだ。樋口ちゃんから聞く限り、国木田独歩が中島敦の救援に向かった際にも探偵社では多くの人が協力し合い動いていた。
彼はそのことに気づいて立ち上がった。
”なら今回は”
首領は彼の首に巻いたリボンを渡した。リボン…嗚
呼なら、もう勝ち負けは確定した。
勝率100%だ。
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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時