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確か相手は一介の下級構成員だった筈。
それなら先ずこのフロアに来れる筈が無いのに____
どうやって監視を突破したのだろうか。否、それより彼が勤務中まで付け回すことがあっただろうか。
(どう云う事…?)
「用事は済んだだろう。早く出て行け」
『す、すみません!』
体術は苦手な私だがこれでも私はマフィアである。然も準幹部補佐。
太宰幹部の執務室から出て受け身の姿勢を取るものの其処には誰もいなかった。
冷静に分析をしようとするものの矢張り私も女子である。
得体の知れぬそこはかとない殺気に背筋を震わせた。
此処は強行手段に出るしかなかった。
私は太宰幹部の元へメモ書きを残して去った。
_________
「態々幹部を呼び出してまでしたい話って、何だい?」
太宰幹部は怪訝そうに顔をしかめた。
先日まで黒服の一人だった女が歴代最年少幹部を呼び出して私の首は飛ばないだろうか。それに私も私でこれを云うのは少々気が引けるが云うしか無かった。
『……す、好きです。付き合ってください』
「……君が?私の事……?」
太宰幹部は顎に手を添えて考えた。それは何を考えているものなのか。別に振ってくれて構わないのだが。
現在ストーカーしている彼は私の任務の対象であり恋愛対象のいない女性を狙い、誘拐する。
よって、私に恋心と云うものがあれば自然と離れていくだろう。
とにかく、彼にマーキングされているうちはこちらとしても非常に仕事がしづらいのだ。
「ね、聞いてた?」
そこで我に返り太宰幹部の深い瞳と目が合った。私はやば……と目を伏せて多分これで合っているであろう返しをする。
『…は、はい!これからも友達でいましょう!』
「否…何云ってるかよくわからないんだけど。私も君のことが好きだと云ったんだよ」
『……へ』
そうすると長外套のうちに抱き寄せられた。あ、今日はいい香りがする……なんて思ったのも束の間つま先から頭のてっぺんまで沸騰しそうなほど熱くなった。
『わわ、ちょ、何してるんですか!?』
「え?私達恋人同士なのだよ?」
……非常に拙い展開となってしまった。どうしようかと悩んでいるうちに顔を上げて、と耳元で囁かれたのでそれに従うと太宰幹部の唇が私に触れた。
『あっ…えっ、そ、の』
「おや……恥ずかしかっているのかい?」
私の嘘とかそういうの物以前に太宰幹部程の眉目秀麗な男性にこのような事をされたら普通なら気絶するだろう。きっと。
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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時