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入れ、と短く声がしたのを確認し扉を開ける。
(珍しくも)書類仕事をしてる太宰幹部は忙しそうにしている。
『広津部隊長より、書類を預かりました』
突っ込まないで欲しい。何故西野さんではなく私なのか、ということは。それは私にも何故だかわからない。
「其処に置いてくれ給え」
『はい』
其処が茶色い珈琲カップ。泥棒が入ったかのように鍵付きの引き出しは半開きで書類が漏れ出している。
毎度の事ながら二日ぶりに顔を出すと部屋の様子は此れである。
物を散らかすために生まれて来たのか、と疑う程には彼は片付けが苦手だ。
私はもう一つ大事な要件を口に出さずにいた。
あの後、何処を探してもなかったのだ。確かに太宰幹部が持っているとは思わないが念の為、何か知っているかもしれないし___
『昨日配布された任務の作戦書、ご確認はされましたか…?』
「ん?…嗚呼、確かこの辺に」
机の奥に引っかかってくしゃくしゃになった書類に印鑑を押してから私に差し出す。しわを軽く伸ばしながらどう聞くか考え込む。
『あ、あの』
太宰幹部は返事をせずに書類の枚数を指で確認する。
『大変失礼な事をお伺い致しますが、ピンク色の封筒が落ちているのをお見かけしませんでしたか…?』
またもや、返事はなかった。
私は失礼しました、と一言残し太宰幹部に背を向け、扉をあけて部屋を出ようとした。
すると彼から言葉を投げかけられた。
「此れの事?」
私は反射的に振り向いた。彼が人差し指と中指に挟んでひらひらと掲げているのはまさに私の探しているものだった。
『はい!拾ってくださりありがとうございます』
私は受け取ろうと彼のいるデスクに歩み寄った。だが太宰幹部は真顔でこう尋ねた。
「で、何?」
『か、返して頂きたいのですが…』
私は口ごもった。太宰幹部は日の光に封筒を透かす様に見た。
「中は、見られたら困る内容?」
『え、ええ。そうです…ね』
「あ、じゃあ見てもいい?」
『駄目です!返してください!』
立ち上がり上の方で封筒を開けようとした彼の手を制止しようと手を伸ばした。勿論届かないのだが。
「ほら」
『すみません。ありがとうございます』
しかし、すんなりと返してもらい私は確かにその封筒を手に取った。本日二度目の安堵の息を漏らすと今度は背後から視線を感じた。
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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時