愛吐 15 ページ17
感動の再会、私達の間にその様な物はなかった。以前は上司と部下。今回は敵対する者。
私達が対等の位置に立てる日なんて永遠に訪れるわけが無い、あの時殺し損ねたのは私だ。
必ず_____落とし前をつけなければ。
その筈だったのに実際に職場へ戻る最中で出会った時に彼の視線一つで私は全く動けなくなってしまった。
腰が抜けて立ち上がれなくなってしまった私を介抱すると云う表向きの理由で私に対する尋問がなされた。
「マフィアの上層部しか見ることの出来ないデータに書かれていた内容では敦君に70億の懸賞金をかけたのは組合という外国の組織と云う事が判明した訳だが…」
「君には探偵社の犬になって貰う」
『ポートマフィアの準幹部を組織の裏切り者の貴方ごときが顎で使えるとお思いですか』
私はできる限り挑発的な瞳で太宰さんを睨みあげるが彼は全く微動だにせずただ冷たく私を見下ろしていた。
「へぇ…随分と良いご身分になった物じゃあないか。君を育てたのは私だ。……よって、君は私の命令に従う義務がある」
これは目線を逸らした方が負けである。私は負けじと瞳の奥を真っ直ぐ見つめたが彼の思考は全く読み取れなかった。
不意にずい、と顔が近づけられて四年前の癖で反射的に目を閉じた。
「……そう」
いつになっても、私の予想通りの事は行われずどうしたのだろうと不思議に思った時、ふっと笑った息が私の頬にかかった。薄らと目を開けると自嘲気味な笑顔を浮かべる太宰さんがそこにいた。
「君の考えていることはよく分かったよ。顔を逸らす程だもの」
そう云われて気づいたものの太宰さんは立ち上がった。私は何も云えずただ自分の手元を見つめた。
「私もあの頃のように短絡的ではない。もういい歳した大人だしね……四年前は私欲に任せて君の事を大切に扱えなくて心から申し訳ないと思ってるよ」
違う、私は謝って欲しくなどない。もっと伝えたいことが他にある……筈なのに大事な時に限って私の声は喉元をつっかえ何も出なかった。
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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時