7、朝の揉め事 ページ7
布団に仰向けに倒れたAは、つい先程までと違い…茶色の瞳に、しっかり僕を映していて。
……もし、彼女に拒否されなかったらどうする?
この状況のAを抱くつもりは、流石にない。
それでも…… " 僕 " に押し倒された彼女が、どんな反応を示すのか。その好奇心に抗えなくて。
あれ?僕は、こんなに制御の効かない男だったか?
人格を偽って…潜入捜査、なんかしているのに?
キスをする " ふり " 。
真っ赤な顔で固まる彼女の頬をそっと撫でながら、ゆっくり顔を近づける。
浅い呼吸、シーツに散らばった髪、僕だけを見つめる…綺麗な瞳。
そのどれもが、僕の欲をかき立てた。
歯止めが効かなくなりそうで、少し焦る。
" 拒否…して、くれ " 。
そう、本気で思った直後、漸く彼女が動いた。
バッと顔を僕から背け、強く瞼を閉じる。
「ご、ごめんなさいごめんなさい!!!」
「…はい?」
ごめんなさい?
" やめて " でも " 嫌 " でもなく?
あぁ、僕が怖すぎて謝らせてしまった?
昨夜の件、いくら酔っていた彼女に非があるとしても…この悪戯は悪趣味すぎたな、と。反省しかけた時。
キツく目を閉じたままの彼女が、焦ったように言葉を続けた。
「ポアロで大人気のあむぴに、私の貧相な身体など晒してしまったようで…あの…なんとお詫びを申し上げたらいいのか…」
「……」
は?
…まさか。
この状況で僕の心配をしてるのか、この人。嘘だろ。
「私、こう見えても…わ、ワン、ナイト…なんてした事のない、メンタルよわよわ女子でして……だから、その…" 炎上 " は避けたい所で…」
「炎上?」
「その、あ、安室さんを私が襲った、だなんてJK達に知れたら…」
何を…言っている?
訳が分からなくて、頭がクラクラしそうだ。
「ちょっ、ちょっと待ってください。どうして僕が貴女に襲われたことになってるんですか」
彼女の手を掴んで言葉を遮ると、漸く瞼を開け
僕に視線を戻した彼女が…キョトンとした。
「え?ち、違うんですか……?だって私、完全に酔っていたし…何にも覚えてないし……女なんて選び放題のイケメンあむぴが、わざわざ私なんか抱かないでしょ…」
「なんて事いうんですか貴女は」
いい加減腹が立ってきて、彼女の柔らかな頬を強く押し潰した。
じたばたしながら『にゅっ、…ひゃなひて…』、なんてよく分からない言葉を発するから、つい笑ってしまいそうになる。
697人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真実(プロフ) - reさん» どの小説も読みやすかったです。一目惚れのお話は読んでいてこんな一目惚れの仕方もあるのかと感心しました!リクエストの件、ご無理はなさらずに形に出来そうであればお願いします!! (2021年8月6日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» ぇええ?!全部読んで下さったのですか…?!(;-;)貴重なお時間を私の小説に割いて頂いて…う、嬉しすぎます…!本当に幸せです、ありがとうございます(;-;)一目惚れのお話も読んで頂けて幸せです…!リクエストのお話もいずれ形にできるよう、頑張りますね!^^ (2021年8月6日 7時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - reさん» 読んでいてお互いの気持ちを考えているのが分かるのでキュン死するかと思っています(因みにreさんの小説は全部読破しております/リクエストした際に言っていた降谷さんの一目惚れの小説も読みました) (2021年8月5日 21時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» 真実さん、コメントありがとうございます…!2人の、お互いを大切に想う気持ちを伝えられているのなら、私はとても幸せです…(;-;)とても嬉しいお言葉、いつもありがとうございます…!2人の幸せのために、続編も引き続き頑張りますね!^^ (2021年8月5日 19時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - 夢主には夢主の苦悩、降谷さんには降谷さんの苦悩と言うものがreさんの小説から痛いほど伝わってきますね。けど、それはお互いを大切に思っての事だと思うと切ない気持ちになります。続編も楽しみにしてます!! (2021年8月5日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:re | 作成日時:2021年7月25日 15時