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11、普通の常連客 ページ11

『いつものソファー席がいい』

と強請る彼女の肩を、変わらずカウンター席に押し止めて。
いつものコーヒーを注文させて。

我ながら、ここまで強引だと嫌われるんじゃないかと思うが、彼女の表情を見る限りそんな事も無いようだ。



…ちなみに。
ソファー席を選びたがる理由を聞いてみた。


『今までと変わらず、あむぴを遠くから眺める " 普通の常連客 " として、慎ましく生きるため』。


…らしい。
彼女、本気で答えているようだから…自然とため息が零れて。

僕を『あむぴ』と呼ぶ時点で " 普通 " ではないと伝えたら、絶望の表情を浮かべていた。


……やっぱり変わった人だろ。



初めてのカウンター席に困惑はしているものの、どちらかと言えば…
恥ずかしがっているような気がする。

いつもと違ってすぐ目の前で向かい合う形だから、嫌でも僕と視線が合いやすい。
その度に優しく微笑みかけると、あからさまに慌てているから……やっぱり、悪戯心が疼く。

小学生か、僕は。



他の客のオーダーを取ったあと、わざと彼女の背後から

『Aさん。コーヒー、おかわりいります?』

と耳元で囁きかけると、『あわぁぁあ!?!』なんて叫びながら飛び上がった。


「あ、あぁ、あむぴ…?あの…」
「はい?」

胸を押さえながら僕を見つめる彼女に、笑顔で首を傾げてみせる。

文句を言いかけたのだろう。
けれど、僕の笑顔を見て『…ぁ』と小さく呟いてから、視線を逸らして赤くなった自分の頬に手を触れた。

「……あむぴ…お、おかわりクダサイ」

「喜んで」

この人は、男におちょくられるタイプの女性だと思う。






「あれ?もう帰るんですか?」
「は、はい…」

軽いため息をつきながら荷物を纏め始めた彼女に声をかける。
時計に視線を移すと、コーヒーのおかわりを飲んだせいで、いつもより彼女の帰りが遅かった。

『お会計おねがいします…』と疲れきった表情のA(多分僕が遊びすぎたせい)を引き止めるように、じっと見つめる。


「あと少しでクローズの時間、なのに…?本当に帰るんですか?」

僕の言葉に、彼女は自分の腕時計へと視線を落として首を傾げた。

「エ…?確かに、そ、う…だけど…?」


「僕がシフト上がるまで、待っていてください」

「…うん?…あむぴ?なんで?」

本気で訳が分からないと言いたげな…彼女の察しの悪さに、笑いそうになる。

Aにとっては、部屋が隣でも " 僕と一緒に帰る " 選択肢は全く無いらしい。

12、チョロい彼女と帰路→←10、逃がさない



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真実(プロフ) - reさん» どの小説も読みやすかったです。一目惚れのお話は読んでいてこんな一目惚れの仕方もあるのかと感心しました!リクエストの件、ご無理はなさらずに形に出来そうであればお願いします!! (2021年8月6日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» ぇええ?!全部読んで下さったのですか…?!(;-;)貴重なお時間を私の小説に割いて頂いて…う、嬉しすぎます…!本当に幸せです、ありがとうございます(;-;)一目惚れのお話も読んで頂けて幸せです…!リクエストのお話もいずれ形にできるよう、頑張りますね!^^ (2021年8月6日 7時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - reさん» 読んでいてお互いの気持ちを考えているのが分かるのでキュン死するかと思っています(因みにreさんの小説は全部読破しております/リクエストした際に言っていた降谷さんの一目惚れの小説も読みました) (2021年8月5日 21時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» 真実さん、コメントありがとうございます…!2人の、お互いを大切に想う気持ちを伝えられているのなら、私はとても幸せです…(;-;)とても嬉しいお言葉、いつもありがとうございます…!2人の幸せのために、続編も引き続き頑張りますね!^^ (2021年8月5日 19時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - 夢主には夢主の苦悩、降谷さんには降谷さんの苦悩と言うものがreさんの小説から痛いほど伝わってきますね。けど、それはお互いを大切に思っての事だと思うと切ない気持ちになります。続編も楽しみにしてます!! (2021年8月5日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:re | 作成日時:2021年7月25日 15時

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