え？ 彼氏？ 普通に一般人ですけど。THE SECOND 【となりの坂田。】

・ ページ44

Aside

｢なあなあA聞いてる？
俺ちゃんと寝たかって聞いてるんやけど｣

撮り溜めておいたドラマを見ながらくつろいでいると悠が後ろからしつこく声をかけてくる。

まだ引きずるつもりなのか。

『んー、うん、寝たよ、うん』

｢うそやな｣

後ろから抱きしめられるような形の中そういえば即答された。

バレたか。

『拗ねてる？』

｢拗ねてないわ｣

『嘘だね』

｢嘘ちゃうもん｣

『しっ、今いいシーンだから』

さっと悠の口元に手を当てて今話題のイケメン俳優の演技に見入る。

鬼気迫る表情で迫力のあるアクションを繰り広げているのは、なかなか面白い。

今期のドラマは当たりが多いように思える。

｢ぜっっったいこの人より俺の方がかっこいいわ。
絶対浮気するタイプやでこの人。

だってチャラそうやもん。
俺とは違って。
俺とは違って。｣

そう言って口を尖らせる悠に苦笑する。

『わかったわかった』

｢分かってない！
せっかく一日中2人ともオフやと思ったのに…
なんでドラマなん?!

いややいややおもんない!!!!｣

『あーいいシーンだったのに……』

ぶちっと音を立てて切れるテレビの電源。

『テレビ以外ですることないな…
よしっ、仕事しよう』

｢最近Aお仕事忙しいんやろ？
折角在宅なんやから、ちょっとぐらい休めばええのに｣

『でも、それでお給料減っちゃったら嫌だし…』

｢俺だってそこそこ稼いでるんやから心配せんでもいいんやで｣

『これでも甘えてるつもりなんだけどなぁ…』

｢俺的にはまだまだ甘えてもいいと思うけど。

俺じゃなくても、甘えれる人いっぱいおるやんか｣

誤魔化すように笑うと、すぐにかえってくる反論。

ああ、心配させてるなぁ。

分かりたくないのに、分かってしまう。

『じゃあ、ゆっくり甘えさせてもらおうかな』

｢ん、それでよし｣

真顔でそう頷く悠。

ギリギリ及第点、と言った所だろうか。

『じゃあ仕事は迷惑かからない程度にお休みしてのんびりさせてもらおっかな。

なにしてだらだらしよう』

｢ゲームは？
ゲームがええなあ、そしたら俺もできるやん｣

『操作とか難しくない？』

｢んー、ものによる。
これとかは、まだわかりやすい方ちゃう？｣

悠はノリノリで某配管工のゲームを取り出し、テレビとゲーム機を手馴れた様子でコードで繋ぐ。

まあでも、ドラマとか仕事よりも。

｢見ててな、ここのボタンがダッシュで…｣

悠の楽しそうな顔が1番近くで見れるのが1番嬉しい、なんて。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す