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伍拾漆 ページ10

胡蝶side





「以前も、…お話ししましたかね。
Aさんは、気分障害を患っています。


ですから、普通の人よりも、
Aさんは情緒が、…不安定なんです。」




私は、呼吸を整えた。
そして少し息を整え、もう一度口を開く。




「以前よりも、

明るい気持ち、幸せを願う気持ち等が増えたのは、とても良い傾向です。


ですが、本当に大変なのはここからなんです。」




そう。ここからが、本当のスタート。

私たちにとっても、Aさんにとっても。



「っっど、どういうことですかっ!?」



竈門君が声を少し荒げた。

私は、少し眉を下げて答えた。



「気分障害は、一般的に薬では治りません。
長期的な辛抱強い治療が必要なのです。


そして、Aさんは、最近明るい、陽の感情が出てきました。
それは確かに良い事ですが、
気分が上がりやすい、という事は

気分が下がりやすいとも言えてしまうのです。


そして、気分が上がっているときに、気分が急激に落ちると、その分心につく傷の量も倍になります。」



「っっで、でもっ!

Aさんが負の感情に陥ってしまった時は、俺達が向き合い続ければ」


「駄目なんです!!」



いいじゃないですか。そういうつもりだったのだろう。

私は竈門君の話を遮った。





私も、向き合い続けたいですよ。
でも!…駄目なんですよ。





「なんで、ですか。」


私の表情か、匂いに気付いたのだろう。
竈門君が少し声を震わせながら言った。









「気分障害とは、自分を卑下してしまったり、周り全てに関心がなくなったり、負の感情しか感じられなかったり、そういう病気です。




ですので、

本人と向き合い、励まし、元気にさせようとしても、

本人を追い詰めてしまう事例の方が多いんです…。」





じゃあ、どうすれば…。そう竈門さんが呟いた。


だから、私は竈門さんを落ち着けるよう、わざとゆったりとした声でいった。




「大丈夫ですよ。


方法はあります。」









それが、今回言いたかった事。





「それは、







 
 
 
 
 
まず、安心させる事です。


いつも通りの私たちでいて、無理に変わる事を強要せずに、まず私達が安定した心を持つ事です。」



 

また少し息を吐いて、私はにっこりといつもの笑顔を貼り付け、竈門くんに言った。



「大丈夫です。まずは私達が落ち着きましょう。」









私も、ね。

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ハルル - とっても面白いですね。続き楽しみにしています! (2021年4月2日 16時) (レス) id: 3ed8831ca6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月13日 21時

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