家族みたいな ページ45
目が覚めると、明るい場所にいた。
人の気配の音が聞こえて、落ち着く場所。エドの研究室の、ボロボロのソファーの上だ。
クロロ「起きたか」
何だ、夢でも見てたのか。ゆっくりと上半身を起こそうとすると、クロロが楽にしてていいと言って止めた。
「うん」
体が全然違う。オーラ?念ってこんな感じなのか。ぬるいゼリーが身体中にくっついてるみたいな気持ち悪さがある。
クロロ「1つ、聞きたいことがあるんだが」
枕元に座ってるクロロが、難しい顔をして言った。
「何?」
クロロ「お前は、取り引きで一体何を差し出したんだ?」
強い、とても強い目。彼の芯からの強さを感じる。そして、優しさを。
「教えてあげたの」
クロロ「何を?」
「人の上に立つ方法、商いのやり方もろもろね」
クロロ「は…?そんなビジネス本のタイトルみたいなもので良かったのか…!?」
文字数の都合により省略されたが、みっちり5時間、キツかったぞ。
「絶対無理かもしれなくても、頭を使えば乗り越えられることだってある。そうでしょ?」
極めつけに、昔彼が言った台詞を真似して言ってやった。どうだ、驚いたか!と顔を覗こうとしたら、彼の手が私の頭に伸びてくる。
クロロ「……良かった」
「え」
そのままぐしゃり、と無造作に力強く、頭を撫でられた。ていうかそれよりも、何かクロロの声が震えてたような気がして、びっくりして、一瞬、本当に頭が真っ白になる。
「クロロ?」
しばらくして、呼び掛けると頭から手が離れた。すかさず体を起こして覗きこむ。
クロロ「…ったく、成長したな」
あ、いつも通りだ。
「もー、私こう見えて20歳越えてるんだけど」
クロロ「ははっ、ごめんごめん」
でも一生クロロより年下だ。
「ともあれ、クロロくん。心配してくれてありがとね」
クロロ「心配するのは当たり前だ、俺はお前を愛してるからな」
「あははっ!何々、匂わせ?」
クロロ「調子乗るなよ」
おぉ、こわ。
「じゃあ…家族として?」
クロロ「…家族、か。どういうものかは知らんが、」
「こういうのなら良いよね」
クロロ「あぁ」
私たちの関係は、幻影旅団の団長と、メンバーの一人。頭と足。家族みたいだけど、本物の家族ではないし、勿論恋人でも友人でもない。
ぴったりの言葉はない。けれど確かにお互いがかけがえのない存在で、もう大人だから別々でもやっていけるけど、それでも一緒にいたら楽しい。1つ言うなら、恥ずかしながら愛している!以上だ!
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作者名:ナツメ | 作成日時:2018年11月19日 18時