出会い ページ31
クロロ「というわけでこれから半年、俺が直々に念のあれこれを教える。真面目に聞かないとはっ倒すからな」
どういうわけか私はこれから念の修行をさせられるようだ。正直に言うと今すぐここから逃げ出したい。
「女の子にはっ倒すとか言っちゃいけないんだよー」
クロロ「それについてはすまなかった」
「わかれば良ーし」
しかし、クロロの言うことにも一理ある。そう、一理あるんだ。私がヒソカやイルミにちょっとナメられてたのは念の初心者だったからだ。あぁ、彼らにナメられていたことには勿論気付いていた。うん。気付いていた。……思い出したら腹立ってきたわ!
クロロ「早速だが修行をはじめる前に、ちょっと行くところがある」
バッ、と強キャラっぽく立ち上がったクロロに続き、自分も重たい腰を上げる。何だかんだ言っても、彼はいつも正しいところにいる。
「はいはい、何処までもついていきますよ〜」
だから私は迷わずについていける。そう、私の行くべき道はこっちだ。
**
旅館を出てから一時間程経っただろうか。
やってきた町は、都会のように大きな建て物や工場がたくさん立ち並んでいるものの、都会と違い人が少なく、ひっそりとしていた。これと似た空気を、私は知っている。
「うおっ」
それにしてもこんなところへ何の用があるんだろう、と考えながら歩いていると突然路地裏から出てきた子供が私にぶつかった。
子供はそのまま走り去って行く。あぁ、何か見たことあるなこのシーン。
クロロ「いいのか?財布取り返さなくて」
「うん、いつも札はこっちに入れてるの」
靴底を取り外し、中の空洞に織り込んだ札を見せると彼は苦笑いした。
クロロ「優秀だな。ハンター証もか?」
…しまった。
「待てクソガキッ!!!!」
財布を握りしめて逃げるガキをすぐに追いかけて取っ捕まえる。
『離せっっ!!!!』
暴れるショタの首根っこをつかんで、その細く小さい手から財布を取り上げる。
『やめろっ!!僕には金が要るんだっっ!』
「ダメダメ、盗るなら盗られる覚悟がなくちゃ」
反抗するショタを捕まえたまま、一応財布の中身を確認する。ライセンス良し、小銭良し、謎のバネ良し。ん?謎のバネはいらんな。
『…貴方、わざと僕に財布掴ませただろ』
「何?急に大人しくなったね。もっと暴れてもいいんだよ」
私は生意気なショタが大好きだ。いや、変な意味でなく。
『気持ち悪っ』
おい、それは傷付くからやめろよ。
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作者名:ナツメ | 作成日時:2018年11月19日 18時