念のために言っておこう ページ30
クロロ「ここはちょっとした知り合いが営んでいる旅館なんだ。いいところだろ?」
しっかり身だしなみを整えてきたクロロは、何事もなかったようにそう言って仕切り直した。私も都合の悪いことは忘れたことにしといてやる。
「うん。でも自分がいる場所をそのままメールで送ってくるなんて、びっくりしたよ。いつもなら用心深く二段構造なのに」
何故?と首を傾げてみると、クロロは湯飲みにお茶を淹れながらこう答える。
クロロ「ハンター試験がいつ何処で終わるかわからない上、急ぎの用事だったから無駄な手間と時間をかけたくなかったんだ。まさかこんなに早く来るとは思わなかったが」
はぁ〜そういうことか。私はてっきり彼が何でもめんどくさがる干物男になってしまったのかと思った。
クロロ「それに、たとえ俺達を狙う奴に居場所がバレたとしても返り討ちにしてやればいい。まぁそんな奴いるのかという話だ」
これこそ団長の器だなぁ。
「いるよ、いるいる」
何故かヒソカっぽいシルエットが私の脳裏をよぎる。
「ところでその急ぎの用事、っていうのは何?」
彼が淹れた茶を飲みつつ、話を本題に移す。クロロも机に頬杖をついて目をこっちに向けた。
クロロ「そうだな。単刀直入に言うと、お前にはこれから念の修行をしてもらう」
「はぁ?嫌」
おっと、いきなりすぎてつい正直な感想が出てしまった。
クロロ「そうくるだろうと思っていた。しかし、これからの俺達の活動に念能力は必須だ。お前は精孔は開いているが、発の習得はまだだろう」
「えー、凝ができればよろしいじゃろ〜」
クロロ「よろしくない。これから先、念能力を満足に使えないというのは大きな弱点になる」
「とは言ってもねぇ…できないんだもん…凝はマチに教えてもらってなんとなーくできたんだけどさぁ」
クロロ「練ができて発ができないなんて聞いたことないぞ……まぁいい。とにかく8月までには絶対に実戦でも使えるようになってもらうからな」
そうかぁ、いつか来るとは思っていたんだ……あーーーやりたくない……念使うのってすっごい疲れるのに…
「ねぇ、やっぱりどうしてもやんなきゃ駄目?」
クロロ「駄目だ」
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作者名:ナツメ | 作成日時:2018年11月19日 18時