別れの際は笑顔で ページ27
そのメールはヘトヘトの私がベッドに潜り込んだ、そのまさに絶妙なタイミングで届いた。そうそれは皆さんお察しの通り、夢にまで見たクロロ団長様からのメールだった。ちなみに、ここ突っ込むところな。
メールの中身は位置情報ただそれだけ。どうせこの場所に行くと、彼と落ち合う時間、場所が何らかの形で示されているといういつもの手口だ。
にしてもハンター試験がちょうど終わる頃に送ってくるあたり、『“見てなかった”なんて許さない』という圧力を感じる。ていうかこの場所……遠いな！！！ここからだと最低五日はかかる……飛行船で港へ行ってから船か…交通費も馬鹿にならない。……報酬、しっかりぼったくってやろう。
ヒソカ「酷いなぁ♦別れの挨拶もなしかい？」
「……はぁぁ？誰だよお前」
突然後ろから話しかけてくるもんだから驚いた。ていうか追いかけてきたのかコイツ。やべーな。
ヒソカ「ヒソカだよ♠」
「誰のつもりだよって意味。だいたい私のこと嫌いなくせに何で構ってくるんだよ、鬱陶しい」
ヒソカ「そんな僕にとって嫌がる君は最高の見物だから♥」
うぇぇ…何て嫌味な奴。でも相手にしてる場合じゃないな。
ヒソカ「彼らと行かなくていいのかい？」
…あー、こういうとこ。ヒソカの一番やなとこだ。
「私、こう見えても命捧げてるんだよね。君にはわかんないかもしんないけど、覚悟は決めたつもり」
あれは『覚悟』って、言ってもいいでしょ。うん。いい。
ヒソカ「そう♣」
「はい、もういいでしょ。あ！そうだ。四次試験の900万、ちゃんと払ってね」
ヒソカ「……君、さりげなく値段盛ってないかい？」
……やはり彼も悪党だ。簡単に騙されたりなんかしない。
「あははっ、じゃあまたね」
ヒソカがもう追えないように笑顔で手を振った。こんなことする私もまた、悪党だなぁ。
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作者名：ナツメ | 作成日時：2018年11月19日 18時
