松葉杖は捨てなさい ページ25
ポックル「後ろ暗いことがないならあの時何を言われたか教えてもらおう」
お前が聞いてどうすんねーん。私も聞きたいのですが。
クラピカ「答える義務はない」
ポックル「責任はあると思うぜ」
クラピカ「ないな。私の合格が不自然ならば不戦勝での合格も自然とは言えないな」
両者一歩も引かない攻防が続きます。
ポックル「何だと?」
お!いよいよ暴力か!と内々に盛り上がっていると、ずっと黙っていたゴンが口を開く。
ゴン「どうだっていいんだ。そんなこと。
人の合格にとやかく言うことなんてない。自分の合格に不満なら満足できるまで精進すればいい。キルアならもう一度受験すれば絶対合格できる。今回落ちたことは残念だけど仕方ない。
それより、もしも今まで望んでいないキルアに無理矢理人殺しさせていたのなら、お前を許さない」
…あぁ。やっぱり良いな。うん、この子すごい。
一瞬たりとも油断しないし、イルミの腕を掴む力も緩めない。12歳か。怖いな。彼の一番の武器は意志の強さだ。それってすごいことだ。
イルミ「許さないか……で、どうする?」
ゴン「どうもしないさ。お前達からキルアを連れ戻して、もう会わせないようにするだけだ」
イルミはしばらく黙ってゴンに片腕を掴まれていたけど、空いているもう片方の手をゴンの方にかかげ、それに気付いたゴンは咄嗟に手を離してイルミと距離を取る。
ようやく、終わりそうだ。良かったな、ハンゾー。と目配せをしておく。彼は私の前に座ってるから目は合わないが。
ネテロ「さて、諸君よろしいかな?ゴンの言った通り自分の『本当の合格』は自分自身で決めればよい。また他人の合否をうんぬん言っても我々は決定をくつがえすつもりない。キルアの不合格は変わらんし、おぬし達の合格も変わらぬ。あとは自分次第じゃ。試練を乗り越えて己の力を信じ、夢に向かって前進するのじゃ。
では、ここにいる8名を新しく新しくハンターとして認定する!」
『夢に向かって前進』
夢のことなんて今まで真剣に考えたことがなかったけど、ハンター試験はそれをよく考えるいい機会になったと思う。
きっと人間は、夢から醒めたら死ぬんだ。だから夢って美しいんだわ。
多分、イルミの腕みたいに簡単に掴めないけど、私はそれを掴むためにここにいる。じゃあ、腕を伸ばすしかない。
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作者名:ナツメ | 作成日時:2018年11月19日 18時