正しさはいらない ページ23
部屋の中は静まり返っていて、中央で怖い顔したゴン、元からヤバイ顔したイルミが見つめ合っている。どういうシチュエーション?
恋はここからはじまる、とかやめろ。
クラピカ「…A!」
早々に私に気付いてくれたクラピカが声に出して私の名を呼ぶから、みんなそれに反応して私を見た。ゴンとイルミを除いて。
「あ〜〜…ま、気にしないで続けてよ」
キルアが居ない。トイレか、それとも…彼が落ちたってこと?
イルミ「まるでキルが誘拐でもされた様な口ぶりだな。あいつは自分の足でここを出ていったんだよ」
ゴン「でも自分の意志じゃない。お前に操られてるんだから誘拐されたも同然だ!」
ゴンはイルミの腕を強く掴んでいる。怒りを込めて。ていうか、イマイチ状況が理解できない。
とりあえずハンゾーの後ろの席に座って、彼から何があったのか聞くことにした。
「ね、何で揉めてんの?」
後ろから身を乗り出して問うと、ハンゾーは微妙な表情で私を見て言う。
ハンゾー「お前こんなとこにいて大丈夫なのかよ」
「いいから教えて」
ハンゾー「キルアがボドロっておっさん殺して失格になっちまったんだよ。そんで、今ゴンと睨み合ってるロン毛の奴がキルアを操ったんじゃないかって話だ」
「…よりによって何でキルアが?」
優秀な子なのに。
ハンゾー「どうやら、ロン毛とキルアは兄弟らしいぜ」
「ふーん、似てな」
あんなに似てない兄弟もいるんだ。アモリとイモリとか超似てたのに。
ネテロ「クラピカとレオリオの両方から異議が唱えられてな。キルアの不合格は不当との申し立てを審議中なのじゃよ」
ネテロ会長は今来たゴンと私を交互に見て言った。それに続き、クラピカが立ち上がって意見する。
クラピカ「キルアの様子は自称ギタラクルとの対戦中とその後において明らかに不自然だった。
対戦の際に何らかの暗示をかけられてあの様な行為にいたったものと考えられる。
通常ならいかに強力な催眠術でも殺人を強いることは不可能だ。しかしキルアにとって殺しは日常のことで倫理的抑制が働かなくても不思議はない」
レオリオ「問題なのはオレとボドロの対戦中に事が起きた点だ。状況を見ればキルアがオレの合格を助けたようにもみえる。ならば不合格になるのはキルアじゃなくてオレの方だろ?」
違うな。ルールは『武器OK反則なし。相手を死に至らしめた場合は失格』だった。説明されたのはそれだけ。感情がどうこうなんてこの試験には関係ないんだ。
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作者名:ナツメ | 作成日時:2018年11月19日 18時