番外編 クロロ 5 ページ20
連中なりの、“詫び”?ふざけるな。今頃一人の子供に優しくしたところで、ヤクザはヤクザだ。人も殺すし何も変わらない。罪滅ぼしのつもりかよ。中途半端な優しさは誰も救えない。
そんなこともわからないなんて、ここは本当に最低。もう働くのはやめだ。
エド「お前さんは何故あいつと一緒にいる?」
そんな決意を固めていると、話が予想もしない方向へ進んでいった。そして耳を疑うような台詞が聞こえる。
クロロ「手に入れるため。こればかりは何があっても俺は引かない。けど、彼女の方から来ないと、きっと意味がない。だから……まぁ簡単に言えば待っているんだ」
だから、あんな朝早くから……?信じられない。
本人には交渉の用件を一切知らせずに、相手から申し出るのを待っているだと?本当に人間か?いいや、違う。こいつは人間じゃない!
エド「…お前さんもまた、恐ろしい子供だ」
その言葉に尽きる。
**
エド「何かあったらまた連絡をしろ!じゃあな!」
結局何の収穫もなしにエドの店を出て、彼がシャッターを閉めた頃、クロロは私を見て聞く。
クロロ「これからどうする?」
昨日と違ってこの言葉の本当の意味がわかるようになった私は、顔を上げて答える。
「クロロの手下になろう!」
クロロ「手下……?手下か…うん?……手下がいいの?」
「は?何なの」
クロロ「いや……そう来るとは思っていなかったんだ」
クロロはさりげなく口許を抑えた。いや笑ってるなこれ。
「何笑ってるんだよ。で、どうなの?」
クロロ「大歓迎」
調子の良いやつめ。えげつないとこもあるくせに。
クロロ「じゃあ改めて自己紹介でもしようか。クロロ、13歳」
自分勝手に自己紹介を始めるから、私もする羽目になる。
「A、8歳」
私の方から手を出して握手を求めると、彼は楽しそうに笑って手をとった。
クロロ「あははっ、よろしく」
クロロの手は思ったより暖かかった。
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作者名:ナツメ | 作成日時:2018年11月19日 18時