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番外編 クロロ 4 ページ19

トイレがある奥の部屋に繋がる扉を後ろ手で閉める。別にトイレに行こうなんて思っちゃいない。扉で遮られて多少くぐもっているものの、部屋の会話はしっかり聞こえる。あとは彼がうまくやるだけ。

クロロ「この店の銃は全部あんたの?」

まずはクロロがそう切り出す。回りくどいやり方だ。

エド「ふん、そうに決まってるだろ」

クロロ「見る限り、良いものばかりだね」

エド「生意気なガキだ。よし、じゃあこの店で一番高いやつを当ててみな」

地雷だな。当てられるはずがない。だってこの店に置いてあるものは個々の値段のばらつきは万単位でしか変わらない。

クロロ「そうだな……まぁ、これだろうね」

よほど自信があるのか、彼はすぐに答えを出した。何処までいっても所詮は子供。銃の目利きなんて出来ない。数秒後、エドの高笑いが聞こえるんだろうなと待っていたが、いつまでたってもそれはなかった。代わりにガタガタと身を乗り出す音が聞こえる。

エド「それは…!よく見せてくれ!……間違いない!!お前さん、これを何処で手に入れた!?」

……なんかおかしなことになってきたな。まぁいい。

クロロ「俺の質問に答えてくれたら教えるよ」

エド「何だ!?」

クロロ「ヤクザが揃いも揃ってあいつを守る理由を知りたい」

は?何言ってるんだコイツ。いやまぁ、それを聞きたかったんだけど。守るなんて言葉、ちょっと話を聞いたくらいで簡単に使うなよ。

エド「なぜそう思う?」

クロロ「いくらあいつが過激な奴だとしても、“利用できる駒”をわざわざ全員一致で捨てるなんて普通はしないだろ?行き場を無くすことで、こっちの世界から足を洗わせようとしているとしか思えない」

……なるほどな。言われてみれば筋は通っている。でも私は気付かなかった。
私は生唾を飲み込み、扉一枚挟んだ向こうで一呼吸置いて、エドは語り出す。

エド「あいつは切れ味が良すぎるのさ。大事なものを見つけないまま育ってしまったから、守るものなんて何もない。だから簡単に仲間を裏切れる。このままここに居ちゃ、ご立派に殺人マシンとして大活躍するだろう。そしていずれ脅威となる。守るなんて良いもんじゃねぇ。連中は利用するだけして後は厄介払いだ」

クロロ「厄介払いなんだったら、完全に殺してしまえばいい」

エド「そうさな…だが、誰かがもっと優しければ、今ごろあいつはただのお転婆小娘として笑えてただろう。殺さなかったのは、連中なりの詫びでもあるのかもしれないな」

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作者名:ナツメ | 作成日時:2018年11月19日 18時

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