番外編 繋がろう 5 ページ15
目的地であるファミレスまであと少しのとこで、さっきまで俺の二歩ほど後ろを歩いていたAが俺に並んだ。やはり何かあるのかと思って歩調を合わせる。
「付けられてるね」
クロロ「見られてるとは思ってた。…けどいつから？」
「エドワードあたり。多分あのとき、金持ってるの見られたんだね」
マジか。そんな前なの。
クロロ「何処で気付いた？」
「…歩き出した時。確信したのはらぁめんの話してる時だけど。足音からして二人の男だね」
恐ろしいほど感覚が鋭い。しかも、自分が感じてる違和感を一切外に出さなかった。
クロロ「…どうする？」
「君が決めていいよ」
…流石、生意気具合は世界トップレベルか。そんなに弱腰な奴だと舐めてもらっては困るな。
クロロ「じゃあ、」
普段はこんなことしないが、出血大サービスだから仕方ない。振り返るのと同時に、背中とズボンの間に挟んである銃を抜く。
クロロ「今すぐ皆殺しで」
逃げようと踵を返した男に発砲すると、弾は膝の裏をぶち抜いた。もう一人の方の男はその場に崩れ落ちた仲間を見捨て、脱兎の如く逃げ出す。が、Aが瞬時に撃った一発が綺麗に頭に命中して間もなく倒れた。
クロロ「…はは、お見事」
標的が動いてるうえ、20m以上離れている状況でのあの反応。呆れるほど見事だ。こんな逸材をそう易々と逃がしてたまるか。
Aの才能を再確認していると、さっきまで身の毛がよだつような目をしていた彼女が、いつのまにかキラキラと輝いた目で俺を見ていて、
「君のこと舐めてたよ！！まさかこんな大胆な戦い方するとは思わなかったーー！！最高にロック！！えーっと…」
やっぱり名前覚えてなかったか。難しそうな顔をしてる彼女をしばらく見てから、思い出しそうもないのでもう一度教える。
クロロ「クロロ」
「そうクロロ！私に興味を持って付きまとってくる奴はこれまで結構いたけど、君みたいなのは初めてだ！」
あぁ…まぁ、そういう奴だという誤解が解けて良かった。俺はロリコンではないからな。
クロロ「それはどうも」
大男いわく、信頼は何よりも大事。俺もそれには大賛成だ。だからこそAが心を開きかけている今、俺が行動を焦ってはいけない。信頼はじわじわと築くもの。長期戦は覚悟だな。
欲しいものには時間も労力も惜しまない。俺には昔からそういうところがある。そうしているといつか、大抵のものは俺の手に落ちてくるのだ。
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作者名：ナツメ | 作成日時：2018年11月19日 18時
