番外編 繋がろう 2 ページ12
「な!なんだ今の音は!?」
やっべ!!と思ったときにはもう遅い。俺の吹き出した音にサブと男が油断した隙に銃声がパンパン、と二発分。森の中は静かになった。
「や、見かけない顔だね。あいつらの仲間?」
やっぱりあの時目が合っていたのか。大したバケモノだ。俺は隠れるのをやめて立ち上がる。彼女は俺よりずっと背が低い。
クロロ「違うよ、君はどうなの?」
「昨日まで一緒に働いてたの。でもあいつら、私をちっとも女の子扱いしないくせに給料を下げるなんて言いだすから、金庫から金をしこたま盗んで逃げてきたの。そしたら追い掛けてきてさ…おかげで皆殺しだよ」
予想より饒舌に喋ったのに驚きつつも、興味が湧いたので質問を続ける。
クロロ「仕事って、今みたいな?」
彼女は呆れたようにへらりと笑う。
「工場でハムやチーズをパンに挟んでるように見える?」
クロロ「ははっ、何故か見えないよねぇ。女の子なのに」
「そうそう、ていうか君は何でこんなとこにいるんだよ。迷子?」
クロロ「まぁ、そんな感じ。君、名前は?何歳?」
「人のことは知りたいのに自分のことは語らないのね、あんた賢いよ」
おそろしいほど生意気な奴だな。
クロロ「クロロ、13歳」
「はいはい。名前はない。年も曖昧。でもきっと君より年は下だ」
確かに見た目から入ると俺より年下なのは明らかだ。でも、かなり言葉を使い慣れている。俺と対等に話をしているのだから、きっと頭がいいんだろうな。とりあえず、
クロロ「何て呼べばいい?」
「お好きなようにどうぞ」
適当な奴め。自分が人にどう思われてるとか、考えたことがないんだろうな。でも、そんなやつだからこんな真似ができる。
クロロ「じゃあ、A」
「何だそれ」
クロロ「昨日読んだ本の主人公。なかなかいいだろ?」
「…悪くはないね」
クロロ「じゃあ決まりだ。これから行く宛は?」
「ないけど探す」
クロロ「じゃあ俺も手伝うよ。これでもここらでは顔が利く」
「…何で?金ならあげないよ」
クロロ「…大した守銭奴だな。別に見返りはいらない。ただの暇つぶし」
「…ふーん。それなら…まぁお昼ご飯くらいなら奢ってあげる、かも」
クロロ「あははっ」
「な!何だよ!」
クロロ「いや…何でもない。ありがとう」
こいつだ。俺が求めてた刺激。
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作者名:ナツメ | 作成日時:2018年11月19日 18時