相棒はピストルのみ ページ2
拳銃を扱う上で最も肝心なのは、手入れだと思う。
昔から細かい作業が苦手だったから、何度も銃を壊して死にかけたのだから、きっとそうだ。まぁ、こうしてまだ生きているわけなんですが。普段から拳銃を二丁持たされていなかったらとっくの昔に死んでたに違いない。トイレに立て籠り、銃の手入れをしながら昔のことをふわふわ思い出して一人でちょっとだけ笑った。
いつだったか、『お前は何故拳銃で戦うのか?』と聞かれたことがある。
捉え方にもよるがその人はきっと、「念能力っていう超便利な力が存在して、それを知っているにも関わらず、何でお前はわざわざそんな役に立たないオモチャを持って戦場に来てんの?」って聞きたかったんだろう。そう思うのも無理はない。幻影旅団のメンバーは全員が当たり前のように念のプロで、各々違った自分だけの特殊能力を駆使して戦うのだ。ただ一人、私を除いて。
何でかって言われても、よくわかんないんだけど、多分私には念の才能とかセンスみたいなものが全くなかったんだと思う。精孔を開くのにおよそ一年かかったし、念の特訓には時間がかかりすぎて肝心の発まで辿り着かないうちに真剣に取り組むのをやめてしまった。つまり念って、私にとってはそういうもので、それくらいの力だった。
皆が出来てても私が出来ないなら仕方ない。私は私の戦い方をしよう、ぼんやりとそんなことを考えたことがある気がする。今はもう、色々悩んでるのも馬鹿らしくて何が何だかよくわかんないままになってるけど、ただ銃の引き金を引いたときのあの感触は、嫌ではない。
手入れも終わり、ピカピカになったガバメントをトイレの蛍光灯にかざしてみる。よし、頑張ろう。
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作者名:ナツメ | 作成日時:2018年11月19日 18時