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「あぁ、ほら、雨が降ってきちゃったよ。ねぇ、傘ささないの?」
雨はいつの間にか大雨になっていた。
自分の髪や服はもうずぶ濡れだ。
「持ってきてない。」
「じゃ、私の傘に入る?大きいの持ってきたんだ」
「いいよ、御前も濡れるだろうし。」
「否、風を引かれたら困るから…」
「此方来んなよ。」
「え?御免。雨音で一寸聞こえなかったんだけど…」
「来んなっていったんだよ。」
「………。ねぇ、なんでそういう態度を取るのか教えてよ。」
「さぁね。考えたら?」
「考えても分からないから聞いてるんだよ。今まで楽しく過ごして来たはずじゃん。この公園だって私達の思い出が沢山…」
「帰る。」
「待って!!」
「ん、」
「何か何時もと変だよ」
「変なのは御前だって気付かない?何時もより妙に女々しくて面倒臭い。そんなことしても変わったり、戻ったりなんてしねぇんだよ。御前の名前だってもう呼びたくねぇ。」
「酷いね。あぁ、酷いよ。あぁ…あ…御免。帰ってもいいよ。」
「……。ねぇ」
「何?」
「これから如何する気?」
「決まってんじゃん。」
「諦めんの?」
「そうだよ。君に見習ってね。」
「やめとけ。」
「今の君に私を止めるには一つだけ。」
「それは却下で。諦める事はないだろ。未だ先だって良いことある筈だ」
「いいや。無いね。あり得ない。」
「悲観したっていいことないぞ。」
「あ。」
「ん?」
「良いことを考えた。」
その時、暗闇で良く見えなかったが、彼奴が笑った気がした。
否、確かに笑った。瞬間、殺気を感じた
不味い、逃げないと殺される
急いで全力で公園から出た。荷物なんて置き去りにして
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作者名:海が見たい | 作成日時:2017年5月7日 21時