金髪の少年 ページ7
日の出の光がAの体を照らす。
あれから四回の日の出を見た。
鬼はまだうじゃうじゃといるようで、夜になる度複数体に襲われている。
試験を受けている人も、初日から大分人数も減ったようで、前はちらりと姿を見掛けることもあったが、今では人の気配すら感じなくなっていた。
(あのお面の子はまだ生きてるかな……)
ふと、狐面を被った少年を思い出す。
あの少年はとても綺麗な青色の気を纏っていた。
色というのは、濃いほど気持ちが強い。
彼はとても濃く、深い青だった。
「あんなに決意が固いんだもん、きっと大丈夫だよね」
私も頑張ろう!と喝を入れた時だった。
ガサッ
「っ!?」
すぐさま柄に手をかける。
朝日が昇ったとはいえ、ここは薄暗い山の中。
鬼が出ないとも限らない。
「誰だ!」
「うぎゃああああああ!!!!!」
声を掛けた瞬間山中に響き渡るのではないかという程の絶叫。
声の感じからして鬼じゃない。
警戒心を解き、刀を下ろす。
「あー…えっと、大丈夫?」
茂みから顔を覗かせた金髪の少年は恨めしそうに目をギラつかせてこちらを睨みつけてきた。
「そんなに殺気向けられて怒鳴られて大丈夫なわけないだろ合図をしてくれ合図をお陰で心臓が口からまろびでるところだったんだぞそしたらお前人殺しだからな鬼殺隊入る前に捕まるからな!!!!!!いくら女の子でも許さないから!!!!!!!」
一息で捲し立てながら少年がぼろぼろと泣き出す。
「ええ…合図と言われても…鬼がいるのにそんな合図とかする余裕ないし…」
「ごもっともです!!!!でも怖いからほんと殺気で死ぬから!!!!」
ぎゃあぎゃあと喚きながら涙を零すその姿は、男なのにみっともないという感想を抱くが、鬼との攻防で常に張っていた気を緩ませることができた。
「…ふふっ君なんか面白いね!」
この山に入って五日目。初めて笑う事ができた。
170人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
希乃(プロフ) - あかりさん» コメントありがとうございます!現在続きを執筆中ですのでしばしお待ちを…! (2019年5月20日 7時) (レス) id: 2c5a503106 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - とっても面白いです!続きも楽しみにしています! (2019年5月18日 23時) (レス) id: f66f75f695 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:希乃 | 作成日時:2019年5月13日 16時