マネちゃんは暗殺者 part２

寝不足とありがとう ページ13

「ふわぁ〜・・・」


「A寝不足？」




洗面所で歯を磨きながら欠伸をすると、隣に居た京治に言われた。




「うん・・・。沢山話してたらさ」


「ああ、マネージャーさん達と？」


「そう。Ｅ組の男子の写メ見せてたりしたら、イケメンが結構居るもんだから時間かかっちゃって」


「それ、大丈夫なの？隠したがってたじゃん、元Ｅ組だって事」


「だいじょーぶ、バレてない」


「そ」




幼馴染である京治は、当然私の中学も知っている。


なのに私に対する態度を変えない、数少ない人だった。




卒業式のあの日、ポロポロ涙を零して、野次馬から逃れる為に乗っていたバスを降りた私を、１番に出迎えてくれたのは京治で。


政府の都合で、私達の担任である殺せんせーが悪者と言う事になっているニュースを見た筈なのに、可哀想な被害者と言う事になっている私に、変わらず接してくれた。




きちんと見てくれる人の存在がこんなにも大きいものだと、初めて知った。




「A？どうした？」




少しボーッとしていた私を気遣う様な声。


珍しく素直な気持ちになっていた私は、真っ直ぐに彼の目を見て、出来るだけ心を込めて言った。




「ありがとね、京治」


「？、何が？」




本当に分かっていなそうな様子にクスリと笑って、また「ありがとう」と言った。

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