君がため

楽しい日 ページ39

「姫をかかえて屋根に飛びあがりやがったぞ！！ 何者だ、アイツぅ！！」


「……ありゃ万事屋のトコのチャイナ娘じゃないのか？ 何故姫と」




近藤さんの問いに「さァ」と答えながら、総悟はパトカーからバズーカを取り出す。




「ちょっとォ！ 総悟君！ 何やってんの物騒なモン出して！」


「あの娘には花見の時の借りがあるもんで」


「待てっ！！」


「姫様に当たったらどうするつもりだ、この馬鹿！！」


「そんなヘマはしねーや。俺は昔スナイパーというアダ名で呼ばれていたらいいのにな〜」


「オイぃぃぃぃ！！ ただの願望じゃねーか！！」


「夢を掴んだ奴より夢を追ってる奴の方が時に力を発揮するもんでさァ」


「何良い事風に誤魔化してんだ！！」




私と近藤さんで必死に総悟を止めている間に、トシが神楽を説得しようと試みる。




「チャイナ娘、出てこい！！ お前がどうやってそよ様と知りあったかは知らんが、そのお方はこの国の大切なお人だ。これ以上俺達の邪魔をするなら、お前もしょっぴくぞ。聞いてるか！」




……さて。どうなるか…………。




屋根を見上げていると、少し微笑んだ姫様が、貯水タンクの裏から出てきた。


「A！」というトシの指示で、私は先程の神楽と同じように屋根に跳び乗ると、姫様をお姫様抱っこして下に飛び降りる。


姫様に衝撃がいかないよう、細心の注意を払った。




「ありがとうございます……」


「いえいえ。姫様、今日はどうでしたか？」




ニッコリ笑って私が尋ねると、姫様もつられたように笑顔になった。




「とっても楽しかったです！」




それは良かった。

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