君がため

家出の理由 ページ37

「潜伏したテロリスト捜すならお手のモンだが、捜し人がアレじゃあ勝手がわからん」




近藤さんの服装はスルーする事に決めたらしいトシが、何も見なかったとばかりに答える。


ポケットから、姫様の写真を取り出した。可愛い。




「姫様が何を思って家出なんてしたんだか……」


「人間、立場が変わりゃ悩みも変わるってもんだ。俺にゃ姫さんの悩みなんて想像もつかんよ」


「立場が変わったって年頃の娘に変わりはない。A、何か分かるか？」


「何だろ……お父さんの視線がいやらしいとか、お父さんが臭いとか？」


「お父さんばっかじゃねーか」




本当にそれしか思いつかなかった。


ホラ私、普通の女子とは程遠いから。




「江戸の街全てを正攻法で捜すなんざ無理があるぜィ。ここは１つ、パーティでもひらいて姫さんをおびき出しましょう！」


「そんな日本昔話みてーな罠にひっかかるのはお前だけだ」


「大丈夫でさァ、土方さん。パーティはパーティでもバーベキューパーティです」


「何が大丈夫なんだ？ お前が大丈夫か？」




捜す気あんのかコイツ。




「局長ォォ！！」




４人でダラダラと歩いていると、山崎が大声を上げて駆け寄ってきた。


その隊服は既に総悟の餌食となっている。




「！！ どーした山崎！？」


「目撃情報が。どうやら姫様はかぶき町に向かったようです」


「かぶき町！？ よりによってタチの悪い……」




かぶき町……万事屋がある所か。

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