君がため

男にはカエルに触れて一人前みたいな訳のわからないルールがある ページ20

あからさまな挑発にトシが乗って怒鳴った、その時だった。


ガンガンと２人の頭に拳骨が落とされ、「「い゛っ」」という声をもらす。




この２人にこんなマネが出来るのは、この場にゃ１人しか居ない。




「仕事中に何遊んでんだァァァ！！ お前らは何か！？ 修学旅行気分か！？ 枕投げかコノヤロー！！」




近藤さんだ。


が、そんな彼の頭にも拳骨が落とされる。




「い゛っ」


「お前が１番うるさいわァァァ！！ ただでさえ気が立っているというのに」


「あ、スンマセン」




殴られた頭を押さえて、近藤さんが禽夜(ガマ)に謝る。




「まったく、役立たずの猿めが！」




そう言い残して立ち去って行くソイツに、少なからず苛立ちを覚えた。




「なんだィありゃ。こっちは命がけで身辺警護してやってるってのに」


「お前は寝てただろ」


「幕府の高官だかなんだか知らないけどさー、なんであんなガマ護らなきゃならないの？」


「な」




こういう時の総悟とは気が合う。


２人で深く頷き合った。

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