台無し ページ17
「うおっ!?」
背中からの衝撃に、変な声が出る。
服越しに人の体温のような温かさを感じるが、残念ながら抱きついてくるような人物に心当たりは無い。
身体を捩って背中の奴をどかそうとするも、かなり強く抱きついてきているらしく全く動かなかった。
「銀ちゃん……」
そんなか細い声が、背中の方から聞こえた。
俺をそう呼ぶのはパッと思いつく限り2人だが、捩った時に見た髪の色は黒だったから、神楽ではない。
……て事は、まさか。
「……A?」
そう呟いた瞬間、少し腕の力が弱まった。
その隙に俺は身体を180度回転させて、ソイツと向き合う。
俺に抱きついたままゆっくりと顔を上げたソイツは、俺の想像と同一人物だった。
「んで、お前……」
「逢いたかった。ずっと、ずっと」
「……おう」
「どこに居るのかも分からなかったし、捜せる時間も無かったから、見廻り中にすれ違わないかなー、って期待して……やっと、見つけた」
黄色の瞳に、薄く涙が浮かぶ。
新聞でAが真選組に居るのが分かっていたにも関わらず会いにいかなかった俺としては、少し良心が痛む光景だ。
「何で会いに来てくれなかったのかとかは、もう良い。……逢えたから」
「『月猫』、だっけか。凄ェな、お前」
頭を撫でて褒めてやれば、嬉しそうに目を細める。
その異名の通り、本当に猫みたいな奴だ。
「……ところでよぉ、A。お前の上司に慰謝料請求しといてくれよ」
「バカ」
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ゆず - 亜水さん» 総悟のSが初めて発揮された回。私結構お気に入りです。 (2019年7月16日 20時) (レス) id: e9f8937968 (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - 本当だぁ!更新するの早いですね!凄い!あのカエルアニメで観たときマジで苛ついた!総悟あのまま首はねちゃえばいいのにって正直思いました。でもまあ最終的には焼かれてたんで良かったです♪ (2019年7月16日 20時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - 亜水さん» ありがとうございます!このシリーズを更新するのは私自身楽しいので、ドンドンしていけたらと思います。 (2019年7月15日 22時) (レス) id: e9f8937968 (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - 桂優しいな〜再開場面、感動しました! (2019年7月15日 11時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - めっちゃ面白いです!読みやすかったです!更新頑張って下さいね次も観させていただきますので、よろしくお願いいたします! (2019年7月14日 17時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年7月10日 22時