1番 ページ13
「本当に、逢いたかった……」
こた君の着物の合わせの辺りを握って、トンと頭をこた君の胸に預ける。
零れ落ちる涙は止まる事を知らなくて、肩に乗る太陽がいくら舐めてくれても、キリが無い。
こた君は昔から優しくて、私が泣いている時1番に慰めてくれるのも、私に1番甘いのも、彼だった。
俯いている所為で顔は見えないけれど、困っているんだろうなとは思う。
それでも、頭を撫でてくれる手は凄く優しくて、あの頃のままだった。
……この10年で、どれだけその手が汚れたのだとしても。
「こた君は、」
「何だ?」
「この10年、何してたの?」
「……最初は、Aも想像している通り、攘夷戦争に参加していた。松陽先生を助ける為、この国を護る為だ。だが結局どちらも出来ず、俺達はバラバラになった」
え……て事は、つまり……。
「……銀ちゃんは、まだ生きてるの?」
銀ちゃんがもし戦争で命を落としたのなら、こた君は言ってくれる筈。
それが無いという事はつまり、少なくともこた君と別れるまで銀ちゃんは生きていたという事だ。
こた君は私の質問を聞いて、少し驚いた様な顔をした。
「まだ銀時と会っていないのか?」
「うん。ねえ、銀ちゃんって今、何やってるの?」
「……
「そう」
こた君に逢えただけじゃなく、銀ちゃんが元気でいる事も分かった。
何も出来ず、何も知れなかった今までとは、全く違う。
思わず、笑顔がこぼれた。
「おかえり」
相変わらず涙は止まっていなかったけれど、心からのものだった。
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ゆず - 亜水さん» 総悟のSが初めて発揮された回。私結構お気に入りです。 (2019年7月16日 20時) (レス) id: e9f8937968 (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - 本当だぁ!更新するの早いですね!凄い!あのカエルアニメで観たときマジで苛ついた!総悟あのまま首はねちゃえばいいのにって正直思いました。でもまあ最終的には焼かれてたんで良かったです♪ (2019年7月16日 20時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - 亜水さん» ありがとうございます!このシリーズを更新するのは私自身楽しいので、ドンドンしていけたらと思います。 (2019年7月15日 22時) (レス) id: e9f8937968 (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - 桂優しいな〜再開場面、感動しました! (2019年7月15日 11時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - めっちゃ面白いです!読みやすかったです!更新頑張って下さいね次も観させていただきますので、よろしくお願いいたします! (2019年7月14日 17時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年7月10日 22時