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15分ほどして病室に戻ると、君はちょうど帰るようだった。
｢？｣
君は僕の顔を不思議そうな目で見つめた。
｢英智くん、今日は調子がいいんだね｣
｢はい｣
僕に気づいた君のお兄さんは僕に声をかけた。
｢こいつは妹なんだ。君と同い年かな｣
｢A、挨拶できる？｣
お兄さんに促された君は頷いて僕の方を向いた。
｢Aです。よろしくね｣
｢僕の名前は英智って言うんだ。よろしくね｣
｢えーちくん｣
そう僕の名前を呼んだ君は瞬きもしないほど僕をじっと見つめた。
｢えっと…僕の顔になにかついてるかな？｣
僕がそう言うと君はキラキラした目をして言ったんだ。
｢えーちくんって王子様みたいだね！｣
｢え…？｣
周りからお世辞でもそう言われたことがない僕は少し照れたんだ。
｢えーちくんはお兄ちゃんみたいにどこか痛いの？｣
｢うん、もうずっとね｣
｢そっか。
はやく、よくなるといいね！｣
君の屈託のない笑顔に恨めしく思うことも出来なかったんだ。
｢ありがとう｣
この時久しぶりに君と同じような笑顔になれたんだ。
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作者名：chika | 作成日時：2020年3月6日 16時
