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パチンとウインクをして、俺は急いで駆け出していく。これくらいでデイヴの機嫌が最底辺に落ちることはないけど、生徒たちには悪い気もするから。
デイヴの欲しいものは大体いつも同じもの。それが変わるのは体重が増えたとか、肌荒れしたとかそんな時だけ。
今日一緒にいて、別に太ったようには見えなかったし、肌荒れもなかった。……ならいつもので大丈夫そうだ。
俺たちが在籍していた頃とあまり変わらないので、さっさと取ってしまおう。と思ったのだが。
『うーわ、売り切れ。……まじかぁ』
生憎、デイヴの欲しいものは売り切れていた。勿論それを正直に言って「そうかなら仕方ない」となるやつではないのも重々承知している。
誰かに譲ってもらうか、と辺りを見渡せば。ちょうどすぐ近くに目当てのものを持った生徒が座っている。しかも、未開封。
確か、A組の生徒だったはずだ。魔獣を連れた、人畜無害そうな子。
じっと見られていることに気が付いたのか、男の子が視線を上げる。思いっきり目が合ったので、にっこりと微笑んだ。
『えっと、A組の子だよね？』
「は、い。そうです、けど」
いきなり声をかけてしまったので、男の子は驚いたように頷く。怖がらせたかな。
男の子の膝に座った魔獣が「な、何か用なのかだゾ」と俺をじっと見つめる。え、猫ちゃんじゃん可愛い。耳から青い炎出てるけど。
『いきなりごめんね？ちょーっと急用っていうか、野暮用っていうか。……それ、譲ってくれない？』
「……へ？」
『勿論、ただでとは言わないから。その分のお金はちゃんと払うよ。……ダメかな？』
「あ、いえ！全然良いですよ！どうぞ！」
『ありがと。じゃあ、えっと……はい、500マドル。じゃあね！』
譲ってもらったお礼に少しばかり上乗せした代金を渡す。後ろから呼び止める声が聞こえたけどごめん、遅れたらデイヴが拗ねるから。
小走りで出入り口付近へ向かえば、壁にもたれかかって腕を組むデイヴの姿。俺を見ると、やっと来たかとでも言うような緩慢な動作でこちらに来る。
「四分半。ギリギリだぞ」
『目当てのものが売り切れてたから譲ってもらってたんだよ。……はい、あってるっしょ？』
「……ふん、忘れてないようだな」
俺が手渡したのを見て、少し微笑むデイヴ。試験のたびに賭け事してパシらされてたから、そう簡単には忘れない。
何故か機嫌もだいぶ良くなったみたいで、デイヴは近くの席に腰掛けた。
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あいらいん - なんでこれ公式じゃないんだろうって思うくらい好き (2023年4月4日 10時) (
レス) @page43 id: c168593882 (このIDを非表示/違反報告)
硝子ーtengitune.(プロフ) - このラジオに出れるなら私は最近泣いたの所に「プリ〇ュアで泣いた」って言いそう (2021年9月25日 20時) (レス) @page36 id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
チーズ鍋 - 碌無者さん» 完全な手違いですね……。消そうと思っていた方じゃない方を消してしまって……。ありがとうございます(ﾉД`) (2021年9月24日 7時) (レス) @page1 id: 067328da22 (このIDを非表示/違反報告)
碌無者(プロフ) - あんなに書いてらしたのに続編が消えていて……手違いでしょうか？ ご愁傷さまでございます。 (2021年9月24日 1時) (レス) @page50 id: 0a4b7a6801 (このIDを非表示/違反報告)
？？？ - 了解です！頑張ってください (2021年9月23日 22時) (レス) id: ae4d7ce9d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チーズ鍋 | 作成日時：2021年9月6日 22時
