魔法薬学に事故はつきもの ページ43
Y
『デイヴ、危ない！』
とある日の六時間目。魔法薬学の授業中。グリムとともに大釜に向かう俺の耳に、焦ったようなルイス先生の声。
慌てて振り返る俺の耳に届いたのは、何かのガラスが割れる音と液体が溢れる音。それから、クルーウェル先生の怒声。
「仔犬ども、動くな！」
その鋭い声に、身体が跳ねる。思わず動きを止めると、俺たちの間をクルーウェル先生が駆け抜けていく。
やがてクルーウェル先生は一つの班の元へ辿り着く。そこにいたのは、怒号に怯えた様子の三人組で。
その班の机の上からビーカーが一つなくなっていた。そしてそれは多分、床の上に転がってるガラスの破片たちなのだろう。
どうやら、勝手に作った魔法薬をクルーウェル先生に向かって投げたらしく。それをルイス先生が庇ったのだそう。
「何を作った？早く言え」
「た、対象の身体と精神を、昔に戻す……薬です」
「月齢樹の雫は何滴入れた」
「は、八滴……」
三人の代表らしき人の言葉に、クルーウェル先生が舌打ちをした。どういうことだ、と隣のエースを見る。
エースは俺の視線に気付いて、こそっと耳打ちをしてくれた。
「あいつらが作った薬、月齢樹の滴を何滴入れたかで効果が変わるっぽい。八滴なら……十六年前に戻るんじゃね？」
「十六年前って、クルーウェル先生たちが十六歳のときじゃない？……二人、当時って仲悪かったんだよね」
俺がそう囁いたとき。ルイス先生の側にいたジャックとエペルが驚いた声を上げる。
目を閉じたまま倒れていたルイス先生の身体が湯気を出し始めた。戸惑う二人を下がらせ、クルーウェル先生がルイス先生の身体を確認していく。
だんだんと身体が縮んでいき、髪の毛も短くなっていく。十数秒もすれば、腰あたりまであった髪は、肩あたりまでになっていた。クルーウェル先生より少し高い身長も、今はエースたちと同じくらい。
魔法でルイス先生にかかった魔法薬を片付けながら、クルーウェル先生が何かを考え込む。
「……十六年前といっても、いつになっているかが問題なんだがな」
「いつなら大丈夫なんです？」
「入学式の半年後」
「だいぶ喧嘩してたんですね」
よ、っとクルーウェル先生がルイス先生を起こす。上半身を壁にもたれさせ、その場に座らせた。
そのままゆさゆさと揺すると、ルイス先生の瞼が動く。そして、ゆっくりと目が開いた。
『……っ、げぇ。なんでコイツここにいんの』
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あいらいん - なんでこれ公式じゃないんだろうって思うくらい好き (2023年4月4日 10時) (
レス) @page43 id: c168593882 (このIDを非表示/違反報告)
硝子ーtengitune.(プロフ) - このラジオに出れるなら私は最近泣いたの所に「プリ〇ュアで泣いた」って言いそう (2021年9月25日 20時) (レス) @page36 id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
チーズ鍋 - 碌無者さん» 完全な手違いですね……。消そうと思っていた方じゃない方を消してしまって……。ありがとうございます(ﾉД`) (2021年9月24日 7時) (レス) @page1 id: 067328da22 (このIDを非表示/違反報告)
碌無者(プロフ) - あんなに書いてらしたのに続編が消えていて……手違いでしょうか？ ご愁傷さまでございます。 (2021年9月24日 1時) (レス) @page50 id: 0a4b7a6801 (このIDを非表示/違反報告)
？？？ - 了解です！頑張ってください (2021年9月23日 22時) (レス) id: ae4d7ce9d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チーズ鍋 | 作成日時：2021年9月6日 22時
