・ ページ12
実験に必要なのは度胸と思い切り。これ俺たちの持論ね。
俺がこの学園に来てから一週間。流石に待った方だろうと、デイヴと実験室に向かう。学生時代、それから教師になって数年間はここで昼食を取るのが俺たち二人のルールのようなものだった。
勿論、テスト期間やお互いに用事が入っている時は仕方がないが。それ以外の昼休みはここにこもって実験に勤しむ。
学生時代は教科書の応用。ちょっと大人になったら図書室に置いてあるような本の応用。飽くなき探究心は止まることを知らず、俺たちは色んな実験をこなしては新しい発見に目を輝かせた。
『てわけで、今日の実験はこれ！』
「……ふぅん。面白そうだな」
『でしょ？でもこれだと同じ結果になるからさ。……これとこれを違うもので代用してみよっか』
なんて、試してみたのが十分ほど前のこと。
今の俺たちの目の前に広がるのは、凄惨な状態になった実験室だった。うん、半壊。
隣のデイヴを見れば、若干目が泳いでいる。まぁ、それはそれとして。俺はノートを広げながら、爆発を免れた机と椅子を引き寄せる。隣にもう一つ椅子を置くと、デイヴがゆっくり座った。
「ふむ。この場合は爆発、か。……何がいけなかった？」
デイヴがノートを覗き込んで首を傾げる。それに答えながら手を動かして、起こったことをメモしていく。それから、お互いの気付いたことを。
俺たちは着眼点が違うようで、俺が気付かなかったことがポンポンと出てくる。それを夢中でメモしていると、不意に身体にびりっと電気が走った感覚。
慌てて後ろを振り向くと、クロウリーさんが腕を組んで立っていた。怒っている雰囲気は無いが、こういうのは素早さが大事である。
『やっべ。パパ、ごめん！』
顔の前で両手を合わせて頭を下げる。学生時代から怒られていた時に使っていた技だ。
俺とデイヴは座っているから、目線はクロウリーさんよりも下にある。見上げるようにクロウリーさんを見れば、上目遣いの完成だ。
「ダディ、すまない。爆発するとは思っていなかったんだ」
隣ではデイヴがしゅん、と肩を落としてクロウリーさんを見る。捨てられた仔犬のような雰囲気に、クロウリーさんがため息をついた。
勿論、これはクロウリーさんが本気で怒っていないから使える技である。ガチギレのときにこんなことをしたら、それこそ俺たちが爆発させられる。
「……はぁ、全く。実験室は元に戻しておいてくださいね？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1333人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あいらいん - なんでこれ公式じゃないんだろうって思うくらい好き (2023年4月4日 10時) (
レス) @page43 id: c168593882 (このIDを非表示/違反報告)
硝子ーtengitune.(プロフ) - このラジオに出れるなら私は最近泣いたの所に「プリ〇ュアで泣いた」って言いそう (2021年9月25日 20時) (レス) @page36 id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
チーズ鍋 - 碌無者さん» 完全な手違いですね……。消そうと思っていた方じゃない方を消してしまって……。ありがとうございます(ﾉД`) (2021年9月24日 7時) (レス) @page1 id: 067328da22 (このIDを非表示/違反報告)
碌無者(プロフ) - あんなに書いてらしたのに続編が消えていて……手違いでしょうか？ ご愁傷さまでございます。 (2021年9月24日 1時) (レス) @page50 id: 0a4b7a6801 (このIDを非表示/違反報告)
？？？ - 了解です！頑張ってください (2021年9月23日 22時) (レス) id: ae4d7ce9d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チーズ鍋 | 作成日時：2021年9月6日 22時
