トライアングル age0 ページ30
「ゴコウリンだーっ」「ゴコウリンされたぞー!!」それは,私がまだ幼稚園児だった頃の思い出。リンゴ組の男の子達が,びくびくしながら道を開ける。幼稚園バスから堂々と,先頭を切って降りてきたのは,同じ年長さんの男の子。──ご降臨。誰が言い出したのかは,わからない。たぶんオトナが話している言葉を,皆が真似したんだと思う。何しろ,その男の子の貫禄というか,王様みたいな雰囲気は只者じゃなかったから。リンゴ組の王様だから「ゴコウリン」って言うのかなー,なんて私がぼんやり思っていたけど,そういう意味じゃなかったことに,小学校で国語辞典の引き方を教えてもらってからやっと気付いた。降臨するのは神様や仏様。とにかく普通の人間じゃない,すごい存在が現れることを「ご降臨」と言うらしい。つまり・・・・・・その男の子は,それくらい「特別」だった。例えば,他の子が積み木で遊んでいるところに,その子がつかつかと歩いてきて,「それ」と言うと,皆ササーッと遊び場をあける。手に持っていた積み木も「かして」って頼まれてもいないのに,自分から「どーぞ」なんて差し出しちゃう。あんまりにもオレ様な男の子だったので,私は近くに行くのちょっとこわくて,何時も遠巻きにその子を見ていた。もちろん,皆で遊ぶ時や,一緒に何かをする時は,ビビりながらも頑張って話しかけてたけど・・・・・・。怒らせるようなことはしていないはずなのに,何故か私を見るとすぐ,その子は不機嫌そうに言うのだ。
「おい,ちんちくりん」
けれど,その男の子はあるひとりの女の子に対しては,凄く優しい顔になる。
そして,その子を止めることの出来る子は,四人だけいる。
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作者名:赤司蓮華 | 作者ホームページ:蓮華のホームページ?by赤司 そんなものはありませんby黒子 相変わらず息ぴったりbyキ...
作成日時:2022年10月3日 0時