Wデート age11 ページ21
桧山と撮るんだと思ったら緊張して,プリクラの音声が全然頭に入ってこない。タッチパネルの画面では,どんどん数字が減っていく。撮影までのカウントダウンだ。これがゼロになる前に次々指定をクリアしないと,タイムオーバーで自分が撮りたいフレームや文字が選べなくなってしまう。結衣「あ,あれ・・・・・・?これ・・・・・・ポーズってどうしたら・・・・・・」隣に助けを求めても,桧山も私と同じモアイ顔で固まっている。桧山「おい,蒼井・・・・・・。お前,プリ好きの女子じゃないのかよ・・・・・・」結衣「ご,ごめ,そもそもあんまり撮ったことないって言うか・・・・・・。女子同士で撮る時は画面操作,だいたい他の子に任せてたっていうか・・・・・・。いまちょっと・・・・・・いやかなり緊張してて・・・・・・。な,なんか上手く出来ないし,もう出よ──」桧山「とりあえず前向け」こちらが取り乱した事で逆に落ち着いたのか,桧山がカメラを真っ直ぐ見たまま,私の肩をぐいっと自分の方へ引き寄せた。わー,わー,わー。もう心臓が爆発しそう。桧山「・・・・・・夢だったんだろ」そう,ずっと夢だったんだ。何時か彼氏が出来たら,その時は,一緒に・・・・・・。桧山「・・・・・・一緒にプリ撮るの,が」抱き寄せられたまま,私はただカメラだけを見ていた。すぐ隣の桧山の顔が近すぎて,恥ずかしくて見られないから。『ハイ,撮るよぉ〜〜〜〜♪サン,二,イチ』機械の高い声に続いて,パシャ!パシャ!とシャッター音がする。此処が,人のいっぱいいるゲームセンターで良かった。外の放送やゲーム音がうるさくて,プリクラの声が大きくて,本当に良かった。だっていま,こんな小さな部屋でふたりきり。周りの音がなかったら,私の胸のドキドキが······全部桧山に聞こえてしまう。『次はぁ,ほっぺにチューして撮ってみよ〜〜〜〜〜う♪』・・・・・・・・・。結衣&桧山「「できっか!」」真っ赤になった私と桧山は,機械音声に同時にツッコミを入れた。数分後──。桧山「やべーこれ,地縛霊写ってる・・・・・・あ,蒼井か」プリントされたシールを見ながら,桧山が酷い事を言う。結衣「やめてイジンないでー!」桧山「いや・・・・・・見ろって,オレもひでー顔!」桧山の手の中の小さなシールを,顔を寄せ合って眺めた。すごく距離が近い。でも疲れ果ててしまって,もうそんな事を意識する余裕もない。結衣「ちょっ,これほんとにヒドイよ!?」ふたりでモアイ像みたいになってたり,げっそり真っ白に燃え尽きてたり・・・・・・。
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作成日時:2022年10月3日 0時