２５回目 ページ25
「(何言ってんだろ…私…)」
微かにいい匂いがするベッドに仰向けになりながらそんな事を考えた
あれからまた寝ていたが寝る前にした真緒さんとの会話が頭から離れない
自分が一番分かっていたはずだった
それを言葉にしただけなのに、どうしてこんなに苦しくなるのだろうか
向こうも冗談のつもりだったはずだ
それでも
「虚しいなぁ…」
その冗談を、冗談として受け止められなかった自己嫌悪に陥る
息が苦しい、頭が痛い、体が重い
すぐ横の部屋にいる彼が、何だか遠く感じてしまった
ううん、遠く感じたんじゃなくて
「(元々、遠いんだよ…)」
腕を伸ばして鞄を手繰り寄せた
中身からスマホを出して、彼が言っていたTricksterと打ち込んだ
ガンガンとする頭を抑えながら引っかかった記事を読んでいく
頭痛が酷いのにこんな事してたら悪化する事は分かってるが辞めるつもりは無い
雑誌の表紙、テレビ出演、ライブツアー…など
それは今までにTricksterがしてきた仕事の数々が書かれていた
まとめられている記事の半分を読み終えたところで読むのを辞める
心の中にある黒いモヤモヤとした感情が拭い切れなくて深いため息をつくが、何も変わらないまま
そんな時、玄関が開く音がした
カバッと上半身を起こすが、すぐに腹痛が襲ってきた
玄関から鳴り響く足音はこちらに来ている
階段を一段一段上がってくる足音を聞いて緊張していると、扉の前で足音が止まる
「A！ただいま！」
「おかえり、芽衣」
当たり前だろうが、笑顔で部屋に入って来たのは芽衣だった
あぁ、そうか。途切れ途切れだが寝ていたから時間感覚はなかったがもう夕方だった
今日だけでも沢山寝てしまった事に多少の罪悪感と後悔はあるが、その分体調は少しだけ軽くなった気がする
「体調はどう？あ、お昼ご飯食べた？学校帰りにAの好きなゼリーとか買ってきたんだけど食べる？」
質問の嵐を浴びせられ戸惑うが、よく見たら芽衣は汗だくで髪はボサボサだった
その姿が公園で私の元まで走ってくれた真緒さんと重なる
兄妹揃って、本当に優しいんだ…
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彩音(プロフ) - ひ〜〜めちゃくちゃどきどききゅんきゅんしました･･･。(語彙力なくてすみません) (2022年7月26日 14時) (
レス) @page49 id: 25043c6aac (このIDを非表示/違反報告)
ことは - 真緒くん！梶さん！尊い！ (2021年4月15日 18時) (レス) id: 1efa312b7c (このIDを非表示/違反報告)
めご(プロフ) - 空白猫さん» ありがとうございます(;_;)是非推してください〜！！評価もありがとうございます！！ (2021年4月9日 23時) (レス) id: fec7c0a77e (このIDを非表示/違反報告)
空白猫 - 前半…「早くくっついて？」後半…「待ってこのカップル推せるわ」ってなりました…評価たくさん押しますね…神作だと思ったのでッ！！ (2021年4月8日 11時) (レス) id: 10484fbbe5 (このIDを非表示/違反報告)
愛葉 - 半分本気です…(笑) (2021年2月28日 20時) (レス) id: bb433bc26e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めご | 作成日時：2021年1月2日 21時
