検索窓
今日:40 hit、昨日:53 hit、合計:755,826 hit

60 ページ11






「ねぇ君、どうしてあんな事言ったの?」




その頃、部屋の中に残された2人。






「本当の事を言っただけですわ
私は貴方と生きていきたいの」



「俺は君だけの為に生きてはいけないんだよ?」






女に優しく微笑みかける童磨だったが、
その目は少しも笑っていない。


女は童磨の心情に気付いていないようで気付いている。あえて煽っているのだ。






「A様のお顔、酷い顔でしたね
とても歪んでいらしたわ」



「お前、それ本気で言ってる?」



「……え?」





くすくす笑う女の首に手を添えた童磨は
その手に少し、力を込めた。




「あの、教祖様……?」



「うん」




スッと笑顔を落とした童磨はいつもとは違う空気を纏っていた。

女は笑顔を無くした童磨の表情を初めて見る。
だから余計に恐ろしくなって見えたのだろう。






「あまり俺を怒らせないでね」



「は、い、」




首に添えられた手を離された瞬間、
女は膝から崩れ落ちた。

冷たい汗がポタポタ額から流れ落ち、童磨の部屋を濡らす。





そして女は呼吸を整えると再び童磨を見つめた。





「あの、教祖様」


「何?」


「今宵もあの方と月を見に……?」




そのまま視線を逸らさずにゆっくり立ち上がると
童磨に近づいていく女。





「んー。今日は行かないよ、きっと」





切なく笑った童磨を、女はそっと抱きしめる





「それでは、私と行きましょう
私なら貴方にそんな表情、絶対させたりしないから」



「……俺は今、どんな表情をしてたんだい?」



「とても切なそうでしたよ」



「そっか」







童磨は女を引き剥がすと、



「その切ない表情をさせられるのは
Aだけなんだよね」



と、次は楽しそうに笑った。









「……私なら、もっと。」


対して、そう小さく呟く女。





「……さっきの接吻、Aに見られちゃったし
転んだだけなのにね」



そんな女に鋭い視線を向ける童磨。
女は肩をびくつかせ、視線を逸らした。







「……私と、今宵月を見に行きませんか。」



「……」





童磨は考える素振りを見せると、
にこりと笑って頷いた。







女は途端に笑顔になるが、







「きっと、Aも約束を破って
あの男と月を見に行くんだろうしね」







……と、どんなときでも彼の脳内を占めている
“A” という側近の存在に、女は思わず顔を歪ませた。

61→←59



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (413 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1183人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 童磨 , 鬼滅
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

おもち(プロフ) - るみさん» おおお……!!!コメントありがとうございます……ッッ!!!こちらこそ感謝です……っ゚(゚´Д`゚)゚。 (2020年1月4日 15時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
るみ - 今ここまで読んで見ましたが……私の想像以上に最高の作品でした!!書いてくれた作者さんありがとうございます!! (2020年1月4日 13時) (レス) id: b36153d67a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - クラゲさん» ヒビが……(´・ω・`) (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - うささん» そそそそそんなに!!!?滅相もない!!!(;▽;)嬉しいですぅぅぅぅぅありがとうございますぅぅう!!!!゚(゚´Д`゚)゚。 (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - paopaoman217さん» え!?ありがとうございますっっ!!!!ヽ(;▽;)ノ更新待っててくださいね〜!!(≧▽≦) (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:おもち | 作成日時:2019年11月17日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。