伝説の始末屋

43 ページ44

クラピカside


ハンター試験の時にAが倒れてからずっと気がかりだった


あの時のAは本当に生気を失ったように眠っていてもう会えなくなるのかもしれないと思った程だ


……自分が彼女に抱いている感情など、とっくに自覚していて、同じ感情を抱くものが彼女の周りには沢山いるということも知っている。



だからこそ今Aが目の前にいて私だけがAに触れているという状況が嬉しくて堪らない



触れ……て……



…………？




何故私はAの髪を……？


いや、これは、Aが苦しそうな声(ただの雄叫び)を上げていたから心配して……


そんな言い訳の出てくる脳を溶かすように視界に入ったのはAで

彼女の柔らかい髪から覗く少し汗ばんだ肌と

いつもよりゆとりのある服からわずかに見える……



「っ！」



『ん？クラピカ？』


「っすまない！！わ、私はなんてこと……！」


何を考えているんだ私は……！！！これじゃあレオリオと同じじゃないか！！


直ぐにドライヤーを返して1度気を落ち着かせるために部屋を出た


「っ……はあ〜〜っ……」



「お？クラピカどうしたんだよ」



「……お前と同レベルか……」



「は？なんだよ急に…」


どうしてこうも、Aのことになると気が動転してしまうのだろうか……


……


急にクラピカからドライヤーを返されてしまったがつまりそれは私の筋力が無さすぎてお前も鍛えろと……？



『いやいや女の子がムキムキでも困るでしょ！！！

っだぁあぁ！くそ重いなコレ！！！何入ってんだ！！』



もうやけになって適当に乾かした


明日の髪質なんぞ知ったこっちゃないです



……


『……まあ1人部屋だよなぁ』



お風呂上がり、丁寧にメイキングされたベッドに腰掛けると下の階から楽しそうなゴンくんたちの声が聞こえる




『……酷くない？寂しいんだけど？？』



泊まった意味無ぇじゃねえか！！！私も皆と年甲斐なく遊びたいよ！！！



『あーもう！楽しみにしてた私がバカみたいじゃん！！』



怒りを込めてベッドに思い切り寝転がるとあまりのフカフカさに感激して普通に寝た。なんならちゃんと熟睡した。ちょろくてごめん

44→←42

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す