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マ「A」


「…」


マ「A!」


「…なに」


マ「こっち見ろ」


「…」




楽しくない。楽しくない。
急な喪失感に耐えられない。


何なのこれは、なんで私はこうなの。


自分が分からなくなってきた。
何でこんなことをしているのかも、
私がこんな目に遭うのも理解が出来ない。


怒りが収まらない。止められない。




「っ!!」


マ「!」


春「アイツ!!」


九「ボス蹴った…」


マ「やめろA」


「…」


マ「そんな顔すんな」


「うるさい」


マ「…」


「来ないで!!!!」




佐野くんのが目の前に居ても
収まらない怒り。


今までの嫌な事が全部頭を過る。


流れる涙、私おかしくなったんだ。




マ「大丈夫だ」


「触んな!」


マ「俺を見ろA」


「嫌っ!!」


マ「A」


「っ…」




佐野くんに掴まれた手を振りほどき続けても
何度も何度も掴んで来る。


イライラが止まらず叫ぶと
佐野くんは私を抱き締めてきた。




マ「落ち着け…大丈夫」


「嫌、嫌嫌嫌っ!!」


マ「姉ちゃんも心配してる…」


「っ!」


マ「お前の事心配してるから暴れんな」


「…」


マ「何も思い出さなくていい。お前は何も悪くない」


「…嫌…」


マ「俺も心配させてごめん」


「…」




感情が高ぶりすぎて目眩がする。
でも佐野くんの匂いが少しずつ私の心を
落ち着かせていく。




マ「…」




ザッ…ドクッ…ドクッ…




マ「…!」


「…」




こんな事したかった訳じゃない。
でも佐野くんが取られると思っただけで、
勝手に体が動いていた。


私には止められない
もう1人の私がいるのかも知れない。


お姉ちゃんが死んだあの日から、
ずっと私の中には…


こんな気味の悪い私でごめんなさい。
こんな事しか出来なくてごめんなさい。




マ「…A」


「…」


マ「謝んなくて良いよ」


「えっ…?」


マ「お前も俺と同じだったんだな」




ザッ…ドクッドクッ…


佐野くんの言葉に心臓が高鳴る。


優しい目とあやす様に笑うその顔に、
私はただ見惚れていた。


佐野くんは、たまに私の思っていることを
理解している時がある。


今もそうだ。




マ「助けてくれてありがとなA」


「…」









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作者名:Sちゃん | 作成日時:2021年9月23日 23時

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