【H×H】音色と恋色。【クロロ=ルシルフル】

37 ページ40

「あった方が便利だろう？」



クロロはチェロケースを背負ったまま、スタスタと公園の出口へと向かう。
それをAも小走りで追いかけた。



「私もいつか買おうとは思ってたけど、え、ほんとに今から行くの？」

「お金なら俺が出すし、思い立ったが吉日とも言うだろう？」

「確かにそうだけど…わかった。買いに行こう。でもお金は自分で出すから。それくらい買うお金はあるし、自分のものだから自分で買う。銀行寄るよ。」



クロロはいつも何かにつけてすぐ奢りたがった。
どこの御曹司というんだ、まったく。

それにAもお金についてはそこまで困っていない。
楽団の給料は雀の涙ほどのものだが、日常生活はイズナピに養ってもらってるのでほぼ手をつけていない。だから携帯電話を買ってもまだ半分くらい残るだろう。



「別にいいのに」とクロロが呟いたが、Aが割と頑固なことを知っているのでそれ以上は何も言わず、銀行へのと向かうため大通りを左に曲がった。

すぐに緑を基調としたガラス張りの建物が見える。
街で唯一の銀行だ。
AはATMで入っていた金額のちょうど半分を引き出し、これまた街に一つしかない携帯ショップへ向かった。

クーラー聞いた店内に入ると、爽やかな笑みの店員がすぐに声をかけてきた。



「いらっしゃいませ。どのような機種をお探しですか？」

「あーー、あんまり分かんないので一番いいやつお願いします。金額に糸目はつけないんで。」

「承知致しました。すぐお持ちいたしますね。」



そのまま店員に勧められるまま最新の機器だというものを買わされた。
多分性能は劣るだろうが前の世界でいうスマートフォンに似たものだ。

想定していたよりもだいぶ安い。
現金一括払いで購入し、その場で商品を受け取った。

38→←36

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す