【H×H】音色と恋色。【クロロ=ルシルフル】

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それからクロロとAは毎週木曜日、公園での演奏が終わると街の喫茶店でお茶をする仲になった。

音楽のことや世間話であったり、回数を重ねるほどに他愛もない話が増えていく。
Aの中でクロロは段々と気の置けない友人へと変わっていった。



彼と話すと不思議と心が満たされる。

クロロは私よりも大人で、優しい笑みを浮かべながら私の話を聞いてくれるし、考え方が少し似通っているのも理由の一つだろう。

考えていても具体的に説明出来なかった感情をクロロは“言葉”にしてくれた。
その瞬間、脳内がすっきりと整理されていくようで彼の秀才さに毎度ながら驚かされる。

とにかく素晴らしい友人なのだ、彼は。






今日は木曜日。
いつものように楽団の練習を終えると公園へと向かった。
公園には数名の子供たちとクロロがもうすでに居て、なんだか楽しそうに戯れている。

クロロはきっと本を読みたいのだろうが子供たちは構って欲しくて仕方がないようだ。
本を片手に持つクロロの膝の上や頭にのしかかり子供たちは大声で喋っている。



「元気だねぇ〜…」



皆が集まる木の影からひょっこり顔を出しながらそう言うと、クロロはホッと一息ついたようだ。



「ホントだよ、なんで子供はこんなに元気なんだ。」

「ほら皆、お姉ちゃんのとこにおいで。お兄ちゃんはもう疲れたみたいだから。」


「お姉ちゃん早く早く！」



子供たちはAに飛びつくと、チェロを弾いてくれとすぐにせがんだ。



「せっかちだなぁ〜」


「俺、先週聞いてないもん！！」

「私も！」


「わかったわかった！」




Aはいつもの定位置に椅子を広げ、腰掛けるとすぐにチェロを取り出した。




「じゃあ今日は『誰も寝てはならぬ』を弾こうかな。」



オペラ「トゥーランドット」のアリアである。
ジャコモ・プッチーニが作曲したこのアリアは、テノール歌手のためのアリアとして有名な曲だ。

声楽の曲だが、器楽で演奏してもその雄大さは伝わるだろう。



Aは弓を構える。

いつも音を出すこの瞬間、『皆の心に響くように』と祈りを込めて目を瞑る。

スゥッと息を吸い込んだ。



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トゥーランドットより「誰も寝てはならぬ」

https://youtu.be/Vs1KsnIWhR4

このリンクは千住さんのヴァイオリン演奏版ですが、ぜひオーケストラ版も素敵なので聞いて見てください！！

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