28 ページ31
Aはお兄さんに連れられるがまま、街の喫茶店へと入った。
店内は焙煎された珈琲豆の香りで満ちていた。
カウンターやテーブル、椅子が全て木で作られており、アンティークな雰囲気に包まれていた。
ピアノジャズが会話を邪魔しない程度に流れている。
二人は通りが見える窓側のテーブルに腰を下ろした。
すぐにオーダーを聞きに来たウェイトレスに、お兄さんはアメリカン、Aはウィンナーコーヒーを注文する。
ウェイトレスの胸元に付けられた名札をぼーっと見ながらAはふと思いだした。
私、お兄さんの名前知らない。
「お兄さん、今更だけどお名前聞いてもいい?」
その言葉にお兄さんはやはり目をぱちくりさせる。
「そうか、そういえば君に名前教えてなかったな。」
「聞くのわすれてました。」
そう言うと「俺も言うのを忘れてたよ」と彼は笑った。
「俺は、クロロ=ルシルフル。どうとでも呼んでくれ。」
「クロロさん。そう呼ぶことにします。」
「さん付けじゃなくてもいいよ。あんまり歳も変わらないだろうし。」
「え、そう?私の方が絶対歳下だと思いますよ。」
ウェイトレスがトレーを持ってこちらに来た。
それぞれアメリカン、ウィンナーコーヒーを二人の前に置いていく。
クロロは慣れた手つきでカップを手に取ると、香りを楽しむように鼻先に寄せてから口をつけた。
Aもそれを真似するようにカップを持つ。
いい香りがする。
そのまま口に運び、一口流し込んだ。
コーヒーの苦味と酸味を感じる。
久しぶりに飲んだコーヒーはとても美味しかった。
「俺は22だけど、君は?」
思い出したようにクロロが先程の話を続けた。
「私は18歳ですよ。」
「へぇ。ほんとに?」
「ほんとに。」
何故か疑うような視線を投げかけられてAは苦笑した。前の世界でもよくこういうやり取りをした気がしたからだ。
私の顔はよく言えば大人っぽく、悪く言えば老けている。
「悪い意味に取らないで欲しいんだけど、俺と同じくらいだと思ってた。そうか、4つも歳下なのか。」
101人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽへみあん(プロフ) - ミヤナさん» ありがとうございます!私も久石さん大好きです(≧∇≦*)更新遅くて申し訳ないのですが、これからもよろしくお願いします(_ _) (2019年9月25日 21時) (レス) id: 6ca0d30634 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤナ(プロフ) - とっても素敵な作品ですね!私はクラシックはあまり詳しくないのですが、久石譲さんの曲は好きです!とっても素敵ですよね。応援しています! (2019年9月24日 23時) (レス) id: 7d8442c23e (このIDを非表示/違反報告)
ぽへみあん(プロフ) - 林 香織?さん» ありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです♪。私の大好きな曲ばかりなので聞いていただけて幸いです。ぜひクラシックに興味を持っていただけたらなと笑!更新頑張って参ります…これからもよろしくお願いします(_ _) (2019年9月17日 14時) (レス) id: 6ca0d30634 (このIDを非表示/違反報告)
林 香織?(プロフ) - ぽへみあんさん» 初めまして!団長の不器用さと主ちゃんの優しさに虜になりました!出てくるURLを聴きながら小説を読みこんな曲か…と読んでおりました(笑)作者さんのペースで更新頑張ってください! (2019年9月11日 23時) (レス) id: 3baa06326a (このIDを非表示/違反報告)
ぽへみあん(プロフ) - 死体さん» ありがとうございます!そんなそんな…(--;) 私なんてまだまだですが、そう言っていただけるととても嬉しいです!これからもよろしくお願いします(_ _) (2019年8月20日 10時) (レス) id: 6ca0d30634 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぽへみあん | 作成日時:2019年7月21日 0時