1 ページ2
白い天井、白い壁。白いシーツに白い掛け布団。
目を覚ました彼女の目に入った白は、この1ヶ月間変わることのない景色だった。
ポタ、ポタ、ポタ。
彼女の手に繋がっている点滴の管から、規則的な速さで水が滴り落ちる。
ここは市立〇✕中央病院、1-304号室。
北棟3階に位置する、日当たりのいい病室だ。
ベッドサイドの窓からは中庭が見渡せる。
ゆっくり体を起こすと、彼女は窓を見遣った。
ちょうど日の出直後の時間帯であった。
朝日が東棟の背後から差し込んでくる。
光は中庭の白に落ちて…
と、そこで彼女は初めて気がついた。
雪が積もっている。
中庭が銀世界になっていた。
雪の上で弾ける朝日の煌めきが、この病室にも入ってくるようで彼女は心弾ませた。
昨日の夜に降っていた雪は粉雪だったからまさか積もらないだろうと思っていたのだが、これは嬉しい誤算である。
まだ誰も足を踏み入れていない、中庭に広がる銀世界は美しかった。
この瞬間こそ、写真に収めるべきだろう。
そう思いベッドサイドのスマートフォンを右手で取ろうとして、彼女は自身の右手がもう動かなかったことを思い出した。
独りでに出たため息が病室に響く。
彼女、舞浜Aの右手が全く動かなくなったのは先月の12月のこと、全日本音楽コンクールの本戦の1週間後のことだった。
101人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽへみあん(プロフ) - ミヤナさん» ありがとうございます!私も久石さん大好きです(≧∇≦*)更新遅くて申し訳ないのですが、これからもよろしくお願いします(_ _) (2019年9月25日 21時) (レス) id: 6ca0d30634 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤナ(プロフ) - とっても素敵な作品ですね!私はクラシックはあまり詳しくないのですが、久石譲さんの曲は好きです!とっても素敵ですよね。応援しています! (2019年9月24日 23時) (レス) id: 7d8442c23e (このIDを非表示/違反報告)
ぽへみあん(プロフ) - 林 香織?さん» ありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです♪。私の大好きな曲ばかりなので聞いていただけて幸いです。ぜひクラシックに興味を持っていただけたらなと笑!更新頑張って参ります…これからもよろしくお願いします(_ _) (2019年9月17日 14時) (レス) id: 6ca0d30634 (このIDを非表示/違反報告)
林 香織?(プロフ) - ぽへみあんさん» 初めまして!団長の不器用さと主ちゃんの優しさに虜になりました!出てくるURLを聴きながら小説を読みこんな曲か…と読んでおりました(笑)作者さんのペースで更新頑張ってください! (2019年9月11日 23時) (レス) id: 3baa06326a (このIDを非表示/違反報告)
ぽへみあん(プロフ) - 死体さん» ありがとうございます!そんなそんな…(--;) 私なんてまだまだですが、そう言っていただけるととても嬉しいです!これからもよろしくお願いします(_ _) (2019年8月20日 10時) (レス) id: 6ca0d30634 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぽへみあん | 作成日時:2019年7月21日 0時