恋に落ちるこの瞬間 ２ 【Y.K】

V.D＊02 ページ45

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「おはよ、じんくん。ハッピーバレンタイン」

「え、まじ？超嬉しいんだけど！今年はなしかと思ったけどさすがA」



迎えたバレンタイン。

教室に入るなりじんくんの机に向かった。

昨日作った手作りチョコを渡すと、じんくんは嬉しそうに笑ってわたしの頭を撫でる。



「おい！俺のAに触んな！」

「Aの彼氏怖いんだけど」

「本当調子乗ってるよね」




嘘。

本当は嬉しい。


優太にヤキモチ妬かれてることが

本当は今すぐ飛び跳ねたいくらい嬉しい。


のに、



「優太うざい」



どうしてわたしの口は毒しか吐けないんだ。







「はい岸くん義理チョコ」

「まじ！いや義理とかわざわざ言わなくていいわ！あざす！！」



バカ優太



「岸ー！余ったからチョコあげる」

「うわ！やっさっし！あざす！」



アホ優太



「岸くん、これ、」

「おー白井ちゃん！手作り！？まじ！？いいの！？」

「うん、神宮寺くんにもあげたけど」

「あーあんなやつあげなくていいのに！」





クソ優太！！！！




「A、俺モテてない？」

「良かったね」

「これお返し大変だわ」

「そうだね」

「全部食ったら太りそー」

「全部食べて太りまくってそのまま起き上がれなくなって一生ベッドから出てこれなくなればいいのにね」

「……A？」

「帰る」

「は？いや、まだホームルームすら始まってな…」




優太の言葉も、

クラスメイトの視線も、

全てを無視して教室を出た。



ああわたしって面倒くさい。

面倒くさい女の高校生部門で日本代表になれそう。




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