無愛想な。2【沖田総悟】

無愛想。53 ページ9

晋助がこの名前を口に出そうとした瞬間私は動いた。
どうしても真選組のみんなには聞かれたくなかった。




“白龍”という名前を持つ攘夷志士を探していることもそうだが、何より過去の暗い部分に触れて欲しくなかった。




別に自分の行いが間違っているからとかそういう理由ではない。




むしろ生きるため、救うために戦ったと自信を持って言える。




そんな私を受け入れてくれた真選組にこれ以上迷惑をかけたくないというのが正しい。




迷惑かけたくないなら辞めてしまえばいいと思うだろうが、わがままな私はそれができない。




此処にいてはいけないと分かっているけど、
此処にいたいという気持ちが勝ってしまう。




だから土方さんに“ずっといればいい”と言われた時は本当に嬉しかった。




肩にパサッと何かが掛かる。





沖田「風邪ひきやすぜ」





その一言で沖田が羽織りをかけてくれたことがわかる。





「ありがと。
でもらしくないね、後でなんかする気？」





何も無しにこんな紳士的なことをする奴じゃない。





沖田「そのうちな」





隣に腰をかける。





「だよね」





これから気をつけて生きて行こうと決めた。






「沖田はさ、私の過去にあったことって気にならないの？」





なんとなく聞いたことだった。




今まで誰にも聞かれたことがなかったから少し気になった、ぐらいの気持ちだ。




沖田「気にならねェ、って言ったら嘘になるな」





「そっか」





そこで終わるかと思いきや、沖田は話を続けた。

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