070 決着 ページ26
アスナを含んだ6人は、瘴気が漂う本丸内を歩いていた
しかし、どの部屋からも付喪神の気配を感じないのだ
まるで、この本丸に居る刀剣男士全員がどこかで自分たちを待ち構えているような……
アスナはそこまで考えて、無理矢理考えを止めた
否、止められた
アスナ達が歩いている廊下の反対側から雄が現れたからである
しかし、戦場で会ったような余裕な態度ではない
猫背で俯き、足取りもふらふらとしている
アスナが空けた胸の穴は――どうやって治したのか分からないが――塞がっている
夜空「雄……Aはどこだ!?」
雄は夜空の声にビクリと肩を跳ねさせて、ようやく顔を上げた
雄『……』
その顔に全員が驚いた
適度に脂肪がついていた頬はがりがりに細くなり、青薔薇と同じ色合いだった肌も枯れた植物のような生気のない色になっている
雄『……決着を……つけよう』
金木犀「決着って……そんな身体で俺らに勝てると……っおい!」
雄は金木犀の言葉に見向きもせず、再び俯いて来た道を戻って――
行かない
数メートル離れたところで、自分たちを待つようにこちらを窺っている
白山「着いてこいと言っているのでしょうか……」
アスナ「そうみたいだね。……行こう」
6人が歩き出すと、雄もゆっくりと歩き始めた
到着したのは、本丸とは別の建物、道場だった
本来なら手合わせに使われているであろうそこから、風に乗って鉄の匂いが鼻に届いてくる
6人がそれに気づいたことなどどうでも良いというように、雄は道場の扉を開けて中に入っていく
アスナはゴクリと唾を飲み込むと、意を決して中に入る
入った瞬間にこれ以上の血の匂いが鼻腔を刺激して、思わず顔をしかめる
続いて入って来る5人も同じような反応をする
しかし、道場の中はそれ以上の驚きを秘めていた
瘴気を纏った30〜40振の刀剣男士が待ち構えていたからだ
そして、その前には、今にも倒れそうな雄を支えるように抱きしめている桐の姿がある
桐『やっぱりギリギリだったか……誰か、雄を隅に寝かせておいてくれ』
雄に何かを施した後、寄ってきた男士に彼を引き渡した桐は、とうとうその視線をこちらに向けてきた
桐『……まさか、Aが相手でも勝ってしまうとはね。彼女が手を抜いたのかな。それとも、本当に君たちが強かった?』
そこでようやく気付く
ここに青薔薇がいないことに
それを察した桐が続ける
桐『もうAの心配はしなくていいだろう? 君たちはこれから死ぬんだ』
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白(あきら)(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年10月13日 23時) (レス) id: 46e374d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます!いつもいつも楽しみにさせて頂いております!これからも更新頑張ってください! (2019年10月13日 10時) (レス) id: c5721a90b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白(あきら) | 作成日時:2019年10月13日 2時