063 マザーズ・ロザリオ ページ19
アスナが"ユウキ"という名のその場にいない誰かに話しかけてから数秒間、6人の刀剣男士と1人の審神者は彼女の様子を見続けた
男士たちは、主の身に何かあったのではないかと心配そうにしながら戦闘態勢に入っていた
勿論、主を傷つけようとした審神者を討つためである
しかし当の審神者は、なんだこいつ頭おかしくなったのかとアスナを軽蔑したような目で見つめているだけであった
6人の反撃の準備が整い、1人が棒立ちのままという状態になったとき、どこからともなく青紫色の光が集まってきた
蛍の光よりももっと弱く、次の瞬間フッと消えていきそうな光は数を何千何万と増やしながら、アスナの右手へ集まって形を成していく
最後に一際強い光を放ち、不思議な現象は終了した
雄は、ありえないと言うように顔を歪めている
アスナ「……うん。ありがとう、ユウキ」
微笑みながらそういったアスナの右手には、黒曜石のような黒い剣が握られている
細剣と見間違えてしまいそうなほど細い片手直剣――ユウキの剣
立ち上がったアスナの表情は引き締まっており、どこにも恐怖の色は見られない
雄『……ユウキって奴が何かしたんだね。面倒なことをしてくれるなぁ……』
雄は怒りを露わにした声で言った
アスナはそれを正面から受け止めて、口を開く
アスナ「私には守るべき仲間がいるわ。それは、私の親友や愛人、娘、刀剣の皆も含まれているし、Aちゃんだってその1人よ
だから、私はここで死ぬわけにはいかない!」
主に覇気が戻り、安心した6人はそれぞれの目で捉えた
主の背後で微笑む、15歳程度の黒髪の少女を
少女はアスナの右手に手を重ね、審神者を睨む
アスナの耳元で少女が何かを話し、口が閉ざされてからコンマ1秒後、アスナと少女が足を踏み込んだ
刀身が青紫色――先刻の光と同色――に輝く
いつの間にか少女はアスナと重なっていた
2人は右手の剣を大きく引き絞った
雄はその突き技を受け止めようと剣を構えようとする
アスナ「はあ!」
気合を迸らせたその声には、アスナの他にもう1人の声が重なっていた
無邪気で、明るくて、でも少しだけ悲しさと寂しさを持った声
その声に鼓舞されたかのように剣が閃いた
審神者の左肩から右腰にかけて5発、同じように右肩から左腰に5発打ち込まれた
アスナは体を大きく右に捻り、剣の刀身に左手をあてがった
剣は一層強く光り輝き、十字の交差する一点へ吸い込まれていった
黒曜石の剣は雄の体に深々と刺さっていた
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白(あきら)(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年10月13日 23時) (レス) id: 46e374d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます!いつもいつも楽しみにさせて頂いております!これからも更新頑張ってください! (2019年10月13日 10時) (レス) id: c5721a90b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白(あきら) | 作成日時:2019年10月13日 2時