064 足跡 ページ20
雄『くっ……』
雄は貫かれた場所を押さえながら、よろよろと後退する
アスナとユウキの2人の心意が込められた《マザーズ・ロザリオ》は、雄でも防ぎきる事は出来なかったようだ
アスナの手に握られていたユウキの剣はいつの間にか消え、雄が握っていた細剣は音を立てて地面に落ちる
雄『やってくれるね……』
足元に少なくない血を垂らしながら、かすれた声で言った
アスナ「……Aちゃんを返して」
雄『渡さ、ないよ……絶対にね』
三日月「その体で何ができるというのだ」
今剣「こうさんしてください!」
今剣の言葉を聞いた雄の体がピクリと動いた
雄『っ僕が……降参? ありえな、いよ』
既に、気を失っても可笑しくないほどの血を流しながらも、彼の目はギラギラと輝きだした
雄『だって、僕には……沢山の仲間がいるからね!!』
雄が両腕を広げた、その瞬間――
白山「!」
金木犀「くそッ!!」
アスナ「っ全員、戦闘準備!」
雄の周りにいくつもの黒い雷が落ちて、時間遡行軍が次々に現れる
雄は空を仰ぎ見ながら青白い顔で笑っており、胸からは滝のように血が流れ出ている
アスナも急いで細剣を拾うが、姿勢が整う前に短刀が迫ってきているのが見えた
男士たちが庇おうと足を向けるが、走り出す前に遡行軍が邪魔をしてきて、主の元へ近付けない
アスナの体が恐怖によって硬直する
――ここで怯えちゃ、だめだ!
そう自分に言い聞かせて、無理やり硬直を解く
アスナは、奇妙な声を発しながら距離を詰めてくる短刀をじっと見つめ、腰を落とした
細剣を肩の高さに構え、切先を短刀に向ける
短刀が間合いに入った瞬間、左足を踏み込んで、右手を突き出す
剣は吸い込まれるように進み、短刀を貫いた
ソードスキルでも何でもないただの突き技だったが、アスナに自信を与えるには充分だった
それからはあっという間だった
アスナを含めた7人は休むことなく剣を振るい、数十分で100体を超える遡行軍をすべて倒した
しかし、その程の時間があれば、重傷を負った雄でも逃げることができたようで、そこには血だまりだけが残されていた
白山「逃げられましたね……」
夜空「あいつ、主にやられた時にはもう逃げる事しか考えてなかったんだろうな」
乱「ねえ! これ見て!」
そう言われて、6人は血だまりから少し離れた場所にいる乱のもとへ集まる
乱「この足跡、あいつのだよね?」
アスナ「そうね。この足跡に沿って行けばAちゃんの場所がわかるかも」
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白(あきら)(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年10月13日 23時) (
レス) id: 46e374d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつもいつも楽しみにさせて頂いております！これからも更新頑張ってください！ (2019年10月13日 10時) (レス) id: c5721a90b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白（あきら） | 作成日時：2019年10月13日 2時
