072 審神者から審神者へ ページ28
桐『やめろ……やめてくれっ!』
桐の悲痛な声が聞こえてくる
でも、彼に情けをかけてはいけない
彼を綺麗な場所に連れ戻すには、この方法しかないのだから
隅で眠っている雄の近くで膝をつく
後ろから桐が走ってきているのが分かる
彼がここに来る前に、雄の手に薔薇を乗せた
私と主の時は青く光ったそれは、今度は赤く光り出して霊力を吸い取っていく
桐はこの先の事を予想出来ていたようで、薔薇を乗せた時から座り込んでしまっている
薔薇が霊力を吸い取るほど、雄の身体は生気をなくしていく
仕事を終えた薔薇を持つと、中に赤い光が瞬いているのが分かった
桐『ああ……なんてことを……』
それを、両手で顔を覆っている桐に渡す
「どうぞ、
乱「どういう、事……?」
「……説明しましょう
雄さんはすでに亡くなっています
でも桐さんはそれを受け入れられなかった。だって何年も一緒にいた親友なんですもの
そこで、桐さんは雄さんの骸に魂を埋め込む事を考えた
でも、亡くなった人の魂なんて戻ってこない
だから、自分の記憶と霊力で蘇生できないかと考えたんです
結果、それは成功して雄さんは目を覚ましました」
白光「……しかし、それには欠点があった」
白光の言葉に私は頷く
「霊力で骸の腐敗を止め、生きているかのようになった雄さんですが、大きな欠点が見つかった。霊力が消費されていたんです
付喪神は、低位と言えども神なので受け取った霊力を保つ力はありますが、人間にそんな力はありません
その場にいても、呼吸はしなければならないので、少しずつですが霊力は消費されていきます
そこで、自分がいなくても霊力を補充できるようにと開発したのが、この小さな薔薇でした
……しかし使えなかった
審神者と付喪神が霊力の受け渡しをすることは出来ても、審神者から審神者への受け渡しは出来なかったのです」
乱「そっか……だから、直接触って霊力を送る必要があったんだね」
金木犀「ここに来た時、雄に何かやってたと思っていたが、これだった訳か」
「……さあ、桐さん、あなたの秘密は明かされちゃいましたよ。そろそろ降参しては……」
桐『うるさい! お前に何がわかるんだ!』
桐はそう言って彼の男士たちに指示をした
再び戦闘が始まる
「やっぱり抵抗しますか。仕方ないですね」
私は剣を抜き、地面に突き立てる
両手で柄を握って一言だけ呟く
「エンハンス・アーマメント」
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白(あきら)(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年10月13日 23時) (
レス) id: 46e374d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつもいつも楽しみにさせて頂いております！これからも更新頑張ってください！ (2019年10月13日 10時) (レス) id: c5721a90b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白（あきら） | 作成日時：2019年10月13日 2時
