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だが姿を見て呼んだわけではなく、会話の中に私の名前が出てきたみたいだ。
客間として使っていた部屋の襖は閉められており、照明によって二人分の影が写っている。叔父ともうひとりの誰かが話しているということだが、そのもうひとりは誰なのだろうか。
『ああ、そう言えば居ましたね。そんな女が』
『……ご自分の姪っ子ですよ』
くくくくと喉の奥で可笑しそうに笑う叔父の言葉。それに呆然とし、何を言っているのか理解できない。
『彼女の現在をご存知ですか?』
『さぁ?
高杉殿に捨てられ、今頃どこかでのたれ死んでるのではないですかね』
「これは傑作だ」と自分の発言に笑っている。胸の奥底からふつふつと怒りが込み上げ、私は自分の拳を固く握った。
噛み締めた唇からは鉄の味がして顔は自然としかめっ面になっていく。
『……まさか、自分の父親を殺した男に家も権利も全て奪われたとは思っていないでしょう』
叔父ではない誰かの言葉にはっと息を飲む。
自分の父親を殺した……?
私の父は、京へ商売をしにいく途中で賊に襲われたのではないのだろうか。思わず晋助さんを見上げれば、彼はその事実を知っていたかのように平然としている。
『……やはりバレてますか。
まあ、そうですよね。兄がいなくなった後直ぐ飛びつくようにこの家を手に入れたんですから』
自分の兄を殺し、その娘である私を追い出して叔父はこの店を手に入れた。自分の家族を殺してまで、手に入れたかったものなのか。
父の命があるのなら私はこんな店捨てたって良い。どうして、そんな……。
気が付いたら私は、ここから逃げ出していた。
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まい - 999本の薔薇は「何度生まれ変わってもあなたを愛す」ですね。感動しました。 (2020年5月12日 20時) (レス) id: 7154107f34 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - 完結おめでとうございます。まさか、「おかえり、愛おしい人よ」シリーズと繋がっていたのだとは知りませんでした。そして感動し、鳥肌が立ちました。素晴らしい作品です! (2019年11月12日 18時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒奈(プロフ) - すごい感動しました!涙が止まらなかったです!本当におもしろくて、最高でした! (2019年2月9日 22時) (レス) id: 128bb1ac1a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - モモさん» 閲覧とコメントをどうもありがとうございます^^ 沖田もいいキャラですけど高杉も捨てがたいですよね〜〜〜!! そう言ってもらえてとても嬉しいです!! ありがとうございました( ´ ∀`) (2018年4月27日 14時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - 今回の作品もとても面白かったです!思わず涙ぐんでしまいました(笑)サドリーマンも好きだけど、特に高杉さんの作品が大好きです!私もどちらかと言うと高杉好きなのでwとても素晴らしい作品をありがとうございました!!! (2018年3月18日 20時) (レス) id: a467930736 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年8月24日 11時