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『唯一エリートに似合う呉服屋でしたよ』
『こちらで度々オートクチュールしてもらっていたのですが……』
『無くなったのは、残念です』
そう感情のこもっていないような呟きに沖田と土方は眉を少し動かすも、彼らの上司は「オートクチュ クチュ!?」「なんですか佐々木殿、そんな如何わしいプレイは!?」と大きく的の外れた回答をしてしまう。
それに呆れしかない溜め息を吐いた彼らの内の沖田は、佐々木にAのことを聞いた。
『……素敵なお嬢さんですよ』
『今はきっと、どこかで幸せに暮らしてるのではないですか?』
『どこかって……あの娘は身体が弱いって聞いたぞ』
まるで分かっているような佐々木の口振りに土方は反応を示し、その奥を探ろうとする。
しかし佐々木はそれを鼻で簡単にあしらっては、「他人のプライベートを覗くのはエリートのやることではないですから」と淡々と述べた。
舌打ちを抑えきれない土方は再び煙草を口に挟み、火をつけようとするがそのライターに雨粒がかかって上手くつかない。余計に苛立ちを感じて、傍を通りかかった地味な男で鬱憤を晴らそうとしてしまう。
沖田がそんな土方を見て冷ややかな目を送って入れば、いつの間にか佐々木はいなくなっていた。
辺りを見回すも影一つ見えず、沖田はもう一度短い息を吐く。
そうしてまだ銀色の線のような雨を落とす空を睨みつけるように見つめ、煩わしそうに髪をクシャクシャに掻き上げた。
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まい - 999本の薔薇は「何度生まれ変わってもあなたを愛す」ですね。感動しました。 (2020年5月12日 20時) (レス) id: 7154107f34 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - 完結おめでとうございます。まさか、「おかえり、愛おしい人よ」シリーズと繋がっていたのだとは知りませんでした。そして感動し、鳥肌が立ちました。素晴らしい作品です! (2019年11月12日 18時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒奈(プロフ) - すごい感動しました!涙が止まらなかったです!本当におもしろくて、最高でした! (2019年2月9日 22時) (レス) id: 128bb1ac1a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - モモさん» 閲覧とコメントをどうもありがとうございます^^ 沖田もいいキャラですけど高杉も捨てがたいですよね〜〜〜!! そう言ってもらえてとても嬉しいです!! ありがとうございました( ´ ∀`) (2018年4月27日 14時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - 今回の作品もとても面白かったです!思わず涙ぐんでしまいました(笑)サドリーマンも好きだけど、特に高杉さんの作品が大好きです!私もどちらかと言うと高杉好きなのでwとても素晴らしい作品をありがとうございました!!! (2018年3月18日 20時) (レス) id: a467930736 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年8月24日 11時